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「引きこもり」するオトナたち

終身雇用の崩壊、経済危機が背景に?
急増する「突然の解雇」から引きこもる大人たち

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第48回】

 「引きこもり」と聞くと、働き口があっても、身体的な理由などから仕事に就くことができないまま、社会的なつながりも失ってしまった人というイメージがあるかもしれない。

 しかし、バブル崩壊後の長引く不況の中で、確実に増え続けているのが、リストラなどによって会社を解雇されたタイプの「引きこもり」の人たちだ。彼らに共通しているのは、働きたいと思っているのに、仕事に就けなくなってしまい、そのうち働く意欲さえ失って、出口の見つからない人生のロングバケーションに入ってしまうというパターンである。

「働く意欲が長続きしない…」
会社を突然解雇され、引きこもりに

 測量関係の会社で、事務系の仕事をしてきた田中一郎さん(仮名=40歳)は突然、会社を解雇された。

 「上司は当初、将来的に資格を取ってもらい、上司と同じような仕事をさせようと思ってくれていたようです。ところが、私の状態を見て、“これでは難しいんじゃないか”といわれまして…」

 田中さんは、髪を短く刈り揃え、口数の少ない真面目な印象の壮年だ。自分の思いを1つ1つ確認するように丁寧な言葉に置き換えながら、とつとつと話を続ける。

 「対人関係の苦手意識があったんですね。だから、営業とか、そういう仕事は難しいかなと思ったんです」

 体の調子が悪くなり始めたのは、およそ15年前の冬の時期。阪神・淡路大震災が発生し、オウム真理教の事件が次々に起こるなど、日本全体が漠然とした不安感に包まれていた頃だ。すでに、田中さんは会社を辞め、何もしないで実家にいた。

 「働くことに対して、意欲が、たまに盛り上がったりもするんですけど、あまり長続きしないんです。気持ちが、どうしても落ち込んでしまうんですね」

 その日の天候によって、気分が落ち込んだり、意欲を失ったりする当事者の人は少なくない。待ち合わせの約束をしながら、寒かったり、雨が降ったりして、待ちぼうけを食らわされた末に、当日、連絡が取れなくなったようなことは、筆者も何度か経験させられた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

1962年生まれ。大学卒業後、通信社の勤務を経て、フリーに。雑誌やネットメディアなどで、主に「心」や「街」をテーマに執筆。1997年から日本の「ひきこもり」現象を追いかけ始める。東日本大震災後は、被災地に入り、震災と「ひきこもり」の関係を調査。著書は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)、『ふたたび、ここから~東日本大震災、石巻の人たちの50日間~』(ポプラ社)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)などがある。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)、最新刊『大人のひきこもり~本当は「外に出る理由」を探している人たち~』(講談社現代新書)
。池上正樹 個人コラム『僕の細道』はこちら

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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