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STAY GOLD! リーゼントマネジャー岡田兵吾の「シンガポール浪花節日記」

“ムダ残業”モーレツ社員を生まれ変わらせる「働き方改革」

岡田兵吾 [マイクロソフト シンガポール シニアマネジャー]
【第32回】 2016年10月7日
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「モーレツ社員」は時代遅れ?
いや、海外ではもっと働いている

米マイクロソフト本社前にて。出張が続き、韓国→シンガポール→バリ→日本→シンガポール→アメリカ→日本と移動しながらの激務に「モーレツ社員」となる筆者

 先月9月2日、安倍晋三首相が「働き方改革実現推進室」の開所式で「モーレツ社員の考え方が否定される日本にしていきたい」と発言し、話題となった。

 実は約50年前、高度経済成長期の真っ只中でも、同じような動向があったのだ。

 かつての日本は、大量生産・大量消費サイクルのなかで「モーレツ」な拡大主義を突き進み、様々な環境問題や社会問題が顕在化していた。そんななか、ロックや消費者運動や学生運動が盛り上がりを見せ、既成の価値観に対する反発が生まれた。その反発の風潮は、当時の富士ゼロックスのCM「モーレツからビューティフルへ」というキャッチフレーズに凝縮されている。

 現在も、当時と変わらず様々な社会問題が顕在化している。それに加えて今の日本はデフレからの完全脱却が見えないというオマケつきだ。

 しかし、そこで筆者は考えた。「モーレツ社員」は本当に悪なのだろうか。実は、働き方問題の真犯人は「モーレツ社員」ではなく、日本に根付いた「超非効率ワークによる長時間労働」ではないだろうか。

 モーレツ社員と言えば、「サービス残業社会」の日本独自の文化と思われがちだが、他の先進国でも猛烈に働いている人々は多いのだ。筆者が先日出張した、アメリカ・シアトルにあるマイクロソフト本社で、新しいビジネスや経済を生み出しているプロフェッショナルたちもまた「モーレツ社員」だ。

世界2位の教育レベルを誇るシンガポール。仕事だけでなく、学業においても、“肉食系”でギラギラしている。シンガポールの最大紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」より

 モーレツに働く理由は明らかで、仕事がクビになることへのリスクヘッジと、キャリアやスキル向上にどん欲だからだ。彼らの特徴は、給与はもちろん、自らの地位を上げる努力を惜しまず、転職した場合の「市場価値」を高めていくことにも積極的。日本人よりも仕事やキャリアに対して“肉食系”でギラギラしているくらいだ。

 タイトロープなグローバル社会で評価されるためには、無駄をなくし高い成果を出すために、モーレツ社員にならざるを得ないのだ。しかし日本では、ガラパゴス化がジワジワ崩壊し始めている中にあっても、のほほんと「日本式の無駄+非効率仕事法」文化を頑なに守り続けることで、安倍首相が懸念していた「モーレツ社員の大残業」を生み出しているのだ。

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岡田兵吾 [マイクロソフト シンガポール シニアマネジャー]

大阪生まれ。同志社大学工学部卒業後、アクセンチュア(日本/アメリカ)、デロイトコンサルティング(シンガポール)、マイクロソフト(シンガポール)で19年間、業務・ITコンサルタントとして活躍。シンガポール移住11年、永住権を保持し、近年はアジア全域の新事業開発、業務改善、組織改革に従事。 人生の目標は「ソーシャル・チェンジ」(社会変革)、座右の銘は「Stay Gold!」。グローバルビジネス経験を活かして日本およびアジアの顕在化した社会問題を解決し、多くの人々が希望をもてる社会の実現を目指している。

☆ブログ: シンガポールではたらくリーゼントマネージャー岡田兵吾のStay Gold!
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☆Twitter: phoenix_hugo(リーゼントマネージャー岡田兵吾)


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アジアのグローバルシティとして大きな変化を遂げたシンガポール。しかし意外にも、あらゆるところに「浪花節文化」が存在していることを、あなたはご存じだろうか? そこで当連載では、日本人の固定概念を覆すシンガポールのリアルな姿を、家族とともに現地コミュニティに根を張って暮らしている筆者ならではの視点で紹介する。

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