なぜグーグルの社員は、いつも楽しく創造的に働き、世界に大きなインパクトを生み出せるのか。その秘密は一人のエンジニアが開発した、「マインドフルネス」を実践する独自の研修プログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」にある。
「ほぼ日刊イトイ新聞」でおなじみの東京糸井重里事務所CFOの篠田真貴子さん。予防医学研究者として社会を健康にするための各種プロジェクトをリードする石川善樹さん。そして「SIY」を日本で展開するマインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事の荻野淳也さん。経営者、研究者、実践者の視点から、いま注目のマインドフルネスが、ビジネスパーソンにとってどんな効果があるのかを探る。(撮影:和田剛)
「なにこれ、おもしろすぎる!」
荻野:篠田さんは、日本で最初に開催した「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の研修プログラムに来ていただいたんですよね。なぜ参加しようと思ったんですか?
篠田:きっかけは、「イノベーションを考えるための5冊」みたいなウェブ記事でした。その中に、ティク・ナット・ハンさんのマインドフルネスの本があって。
荻野:ダライ・ラマ14世と共に、現代の仏教僧の二大巨頭として知られている方ですよね。
篠田:そうなんですってね。いわゆるイノベーションっぽい本が4冊並んでいるなかで、「この本なに?」と興味を持ち、フェイスブックに書いたら、元ビジネスマンで現在お坊さんの同級生が教えてくれたんです。その本の考え方をビジネスの現場に応用したのがSIYだよと。
それで『サーチ・インサイド・ユアセルフ』を読んだら、もう「なにこれ、おもしろすぎる!」と。人格を磨く「技術」というものがあって、訓練可能で再現可能であることに興奮して、ぜひ体験したいと思って研修プログラムに参加しました。当時、まわりにいる人にこの本を勧めまくっていましたね。
荻野:実際に研修を受けてみて、どうでしたか?
篠田:そうですね。SIYというのは、自分の感情の動きを客観視して、それを微分するように理解していくことから始まるアプローチだと思うんですが、これは糸井重里をはじめ、糸井事務所のクリエイティブな仕事をしているメンバーが普段やっているプロセスと、実はそっくりなんです。
荻野:それはすごい発見。
篠田:そう。ただ、糸井事務所の場合は規模が小さいこともあって、空間や経験を共有することでこの方法がじんわり他のメンバーにも伝わっていくんですが、SIYがすごいのは、こういう個人の内面に関する、非常に内的で、感覚的なのものを、ここまでメソッド化していることだと思います。そこにとても興味がある。