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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

「人間って何だ?」生活保護引き下げ反対訴訟の慟哭

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第66回】 2016年10月14日
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2013年に始まった生活保護基準引き下げに対して、全国27都道府県で、生活保護で暮らす人々約900人が、国に引き下げ撤回と賠償を求める訴訟を行っている。どのような人が、何を目的として、原告となっているのだろう?

日本全体に広がっていく
「生活保護引き下げ反対」への緩やかな協力

生活保護引き下げ反対訴訟の原告たちの本音とは?「人間とは何か?」を問う裁判の裏側に迫る

 2013年8月から、生活保護費のうち生活費分(生活扶助)の引き下げが行われた。平均6.5%、最大10%、特に子どものいる世帯を狙ったかのような引き下げは、2013年8月・2014年4月・2015年4月と3段階にわたって、既に実行されている。この他、人数に対する生活費の割増率(逓減率)の引き下げなど、目立ちにくい引き下げが数多く行われている。

 この引き下げに対して、2014年2月の佐賀県を皮切りに、全国の27都道府県で集団訴訟が行われている。訴訟に先立って自治体に審査請求を行った生活保護の人々は約1万人、訴訟の原告になった人々は約900人。人数でいえば、史上最大級の行政訴訟かもしれない。

 しかし訴訟を行っている原告たちに対しては、「税金で生きさせてもらっているくせに、国を訴えるなんて」という反感や、「引き下げられても死んでいないんでしょう? 引き下げ前の生活保護基準がゼイタクすぎたのでは?」「“ジンケンハ”が“弱者”に運動させているのでは?」という疑問も、ネット空間で数多くぶつけられている。

 2013年、最初の引き下げ反対に賛同した222団体のリストを見ると、「党派的」と見られがちな支援団体や当事者団体も、たしかに少なからず含まれている。しかし児童養護施設の運営母体・必ずしも生活保護にフォーカスした活動を行っているわけではない障害者団体・キリスト教の教会など、「右」「左」の区分けになじまない団体も数多い。直接、生活保護で暮らしているわけではなくても、生活保護基準引き下げを「私たちの問題だ」「他人事じゃない」と考えている人々は、決して少なくないのだ。 

 生活保護引き下げ違憲東京国賠訴訟弁護団の事務局長であり、東京の引き下げ反対訴訟の代理人を務めている白木敦士さんから見て、この訴訟の原告となった生活保護の人々を動かしている原動力は、何だろうか?

 「生活保護基準引き下げに対して『受け入れられない』と声を上げること自体の重要性ではないかと思います」(白木さん)

 生活保護の人々は、どのように訴訟に踏み切ったのだろうか?

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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