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「引きこもり」するオトナたち

「私たちがいなくなったら、どうするの?」
40代引きこもり息子に対する母親の悲痛な想い

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第49回】

 地方都市に住む森本幸代さん(仮名=75歳)の1人息子、繁樹さん(43歳)が、自宅に引きこもるようになってから、すでに12年が経つ。

 大学を卒業後、都内の流通会社に勤務していた繁樹さんが突然リストラに遭ったのは、98年頃のことだ。日本ではバブル経済がはじけて、まさかつぶれるとは思えなかった山一証券などの大きな会社が次々に廃業していた。

 リストラの兆候はあった。

 繁樹さんは就職した当初から、昼間のローテーションで勤務していたのに、解雇前、突然、夜の勤務体制にシフト替えを命じられたのだ。

 夜になると出勤して、朝、家に帰る毎日。それでも、繁樹さんは一生懸命、仕事で頑張っていた。しかし、昼夜逆転生活への転換は、体調を崩す一因にもなり、上司から「もう会社に来なくていい」といわれてしまう。

 リストラされてからというもの、繁樹さんが仕事を探すことはなかった。それまでの給料をほとんど使わずに貯めていたため、会社を解雇されてから、パソコンとCDプレーヤーを購入。昼も夜もネットにハマるようになり、居間のテレビを見に来ることもないほど、1日の大半は部屋にこもって、パソコンなどにのめり込んだ。

エリート意識の高い父親は
10年以上、息子と話をしていない

 当時、一家は都内に住んでいた。

 父親(78歳)は、大手メーカーを定年退職。以来、家族は父親の年金を頼りに生活を続けている。

 元々エリート意識が高い父親は、すでに10年以上前から、息子とまったく話をしない。それどころか、お互いに一切、目を合わせようとしなかった。

 繁樹さんが子どもの頃は、一緒に山に登ったり、旅行に行ったり、楽しかった頃の家族の思い出がある。なぜ父子の間のコミュニケーションがなくなってしまったのか。幸代さんには、思い当たる節がある。

 繁樹さんが高校時代の頃、父親が単身赴任していたことがあった。その頃から、2人はあまり話さなくなり、関係がぎくしゃくするようになったという。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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