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気になるあの本を読んでみた!ベストセラー目のつけどころ
【第24回】 2016年10月22日
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なぜ「原作モノ映画」ばかりヒットするのか
『ぼくのおじさん』プロデューサー須藤泰司氏インタビュー

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ここ数年、映画の年間興行成績ランキングが発表されるたびに、「また原作ものばっかりだ」「アニメしかないじゃん」と落胆する映画ファンも少なくないだろう。
現に、2015年の邦画年間興行成績1位の『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(東宝)から、20位の『図書館戦争 THE LAST MISSION』(東宝)までさかのぼってみても、映画オリジナルの作品は出てこない。
なぜ、ここまで映画が「原作モノ」に席巻されるようになったのか。
なぜ、映画がオリジナル作品を作りづらくなったのか。
その理由と今後の展開について、テレビ朝日の人気ドラマ『相棒』シリーズを立ち上げるなど、オリジナル作品を大ヒット作に育てあげる一方、映画『探偵はBARにいる』などの原作モノも手掛ける東映の須藤泰司プロデューサーに話を伺ってきた。

原作モノ映画が急増する理由

――ずっとドラマ・映画に携わってきた須藤プロデューサーの目から見て、なぜここまで「原作モノ」の映像化が増えているんだと思いますか?

須藤 今、映画を作る際には製作委員会というものが立ち上がります。単純に、こんな映画を作るので、みんなお金を出し合いましょうという組織ですね。

 昔は、東映や東宝、松竹が社外からお金を集めることはあまり無かったんですよ。お金を出すから企画も自分たちで決める。もちろん俳優も公開日も決めた。スタジオだって自社のものがありましたからね。

 つまり、入口から出口まで映画会社だけでコントロールできたんです。けれど邦画が斜陽し、製作本数が減少すると、一本の製作費を上げて少ない本数で大きく狙う勝負になります。そこでリスクヘッジという発想が生まれ製作委員会方式に移行した。製作委員会という形になれば、企画だって自分の会社だけでは決められない。メンバーの人たちを説得出来るような作品でなくてはならない。

 製作委員会に入っている企業はほかの映画にも出資していますから、公開日も調整が必要になる。俳優サイドだって同じですよね。結局、昔は自分たちだけでやっていたことが、今の映画会社では全くできなくなっているというのが現状です。

 昔は映画会社がこの企画はいいと思えば、それで走れた。しかし、今は製作委員会に企画を通さなければいけない。必然的に、海のものとも山のものともわからない企画よりも、すでに100万部のベストセラー作品という肩書きのついた企画のほうが通りやすくなるわけです。

――製作委員会なしには映画は作れない?

須藤 もちろん、製作費の少ない映画だったら可能かもしれません。でも、僕たちが全国公開を考えた場合、最低でも製作費は2億円ぐらい。それと同じかそれ以上の宣伝費もかかる。

 そうすると当然、お金の面でのリスクヘッジは必要となる。そこでまず、製作委員会が大きな意味を持ってきます。もちろん、そればかりじゃない。実は邦画メジャーと言われる東映、東宝、松竹は自社でメディアを持っていないんです。僕たちが映画を作って大宣伝を打たなければいけないときに、テレビ局や出版社が製作委員会に入っていれば、各々の媒体を使って頑張ってもらえる。これは大きいですよね。

――ある種のアート系作品以外は、なかなか内容だけで企画を通すのは難しいのが現状なんですね。

須藤 できないわけではないですが、プラス・ベストセラーという肩書きがつけば、より通りやすくなりますよね。

 たとえば、年間300冊も本を読まなくても、ベストセラーランキングの1位から20位までを読めば、企画は成立します。あとは原作者サイドになるべく早く行って、うちはこれだけの役者をそろえて、これぐらいの規模でやります!と言えばいい。渡す側だって、できるだけ大きく育ててくれるところに任せたいじゃないですか。

 原作への愛と情熱は当然必要ですが、いくら「かわいいかわいい、好きだ、好きだ」と言われてもそれだけじゃどうにもならないですよね。やっぱり結婚するときは経済力も必要だよねっていうのと同じです(笑)。

 ちなみに300冊読む意味は、埋もれてるイイ作品を見つけ出す!って場合ですね。

――この流れはもう変わらないんでしょうか?

須藤 たぶん、大きく変わることはないでしょうね。何かをきっかけに実写オリジナル作品が大当たりすればそこから潮目が変わるかもしれませんが、なかなか今のところはそういう兆候は見られない。

 逆により、原作主義になっていく可能性のほうが高い。全国公開の映画としてはやはり、ベストセラーという知名度は強いですから。

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