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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

優良企業の三井不動産でさえ「ダメ会社」と判定してしまう、フリーキャッシュフローの罪

高田直芳 [公認会計士]
【第17回】 2009年10月2日
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 先の第16回コラムではJAL(日本航空)を題材に、従来のフリーキャッシュフロー(フリーCF)に対抗するものとして、オプション-キャッシュフロー(タカダ式フリーキャッシュフロー)というものを紹介した。ただし、オプション-キャッシュフロー(オプションCF)は生まれたての指標なので、実績に乏しいのが弱点だ。

 そうはいっても、キャッシュフロー計算書に対する経営指標は今後とも、どんどん開発されていくべきだと考える。

 キャッシュフロー計算書が「第3の財務諸表」として会計制度に導入されたのは1998年。企業会計審議会『連結キャッシュフロー計算書等の作成基準』が始まりである。いまだ11歳の子供だ。

 貸借対照表や損益計算書が、15世紀の大航海時代や18世紀からの産業革命を経て、数百年間にわたって鍛え上げられてきたのに比べると、キャッシュフロー計算書はヒヨッ子もいいところだろう。

 それだけに、キャッシュフローそのものに対する理解が、いまだ不十分だともいえる。

 筆者も、2002年に出版した『ほんとうにわかる経営分析』(PHP)ではキャッシュフロー計算書に対する理解ができていなかったため、経営分析の世界では長年の実績ある資金運用表を用いた。

 ちなみにこの本は、今年で版を重ねること第21刷。大変な長寿であることに驚いている。

サブプライムローン問題でも
揺るがなかった三井不動産

 しかし、資金運用表や資金移動表といったものは、第8回コラム(ニトリ編)のCVP分析や、第12回コラム(ソフトバンク編)のEBITDAなどとともに、もうそろそろ「お葬式」を出してやらねばならない時期だと考えている。

 特にキャッシュフロー計算書を用いた経営指標が、これからどんどん開発されるべきと考えるのだが、同計算書でいまのところ市民権を得ているのは、フリーキャッシュフローぐらいのようだ。これは営業活動キャッシュフローと投資活動キャッシュフローを合算したものである。
 
 しかし、こうして求められたフリーキャッシュフローは、前回コラムのJALや日立製作所の例でも指摘したように、どうにも頼りない。そこで今回は三井不動産を取り上げて、さらにフリーキャッシュフローの問題点に迫ってみよう。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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