経営×統計学

ビジネスの現場で実践 統計学で差をつける!(1)

 すかいらーくは14年10月からガストアプリの提供を始め、すでに170万ダウンロードを突破した。効果は抜群で、新聞折り込みチラシに比べて1.5倍の利用者を呼び込むことにつながっている。数千万世帯にチラシを配るのと同様の効果が、100分の1のコストで得られたことになる(図3‐3参照)。

 さらに、アプリとともに米トレジャーデータのクラウド型データ分析基盤を取り入れたことで、膨大な顧客の利用動向を把握できるようになった。

 新商品の開発においてもデータ分析は生かされている。実は、日常的に一部のエリアで試験的に新メニューが導入され、販売の効果を検証し、成果につなげているのだ。

すかいらーくが2014年10月から提供を始めたガストアプリ。クーポンなどで誘客に成功している

ヒットの裏にある
試験販売の実施と
効果測定の繰り返し

 具体的には、全国でガスト全店舗の販売動向と合致する数十店舗を抽出し「試験店」とする。試験店と環境が似通った店を「比較店」として選出し、試験販売の効果を見比べている。

 一見簡単そうな作業だが、売上高や客数、競合状況、商圏など膨大な組み合わせの中から、試験店と比較店を選ばなければならず、高度な統計テクニックが必要なのである。

 こうした分析チームを率いるのが、すかいらーくの神谷勇樹・インサイト戦略グループディレクター。ソーシャルゲーム大手のグリーから13年に移ったデータ分析のスペシャリストだ。

 神谷氏は「統計は原理原則から学ぼうとすると大変だが、概念は難しくないし、ツールも発達している」と言う。大事なのはビジネス経験であり、「いかに仮説を立て検証するサイクルを回せるかだ」。分析チームは16人のうち8割が店舗経験者。「経験」と「統計学」が結び付いた好例といえるだろう。

(記事転載元:『週刊ダイヤモンド』2015年1月31日号特集「自由自在!統計学」P54~56/編集スタッフ:河野拓郎、小島健志、竹田孝洋、前田 剛、田原 寛(本誌嘱託記者))

「経営×統計学」



週刊ダイヤモンド編集部


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