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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

今治市のタオル美術館がくれたビジネスのヒント

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第33回】 2010年12月23日
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 先週、東京の隣接県の関係者に誘われ、繊維産業の伝統がある、とある市の若手経営者との会合に出た。ジュニア社長と言ってもいいであろう関係者全員が30代で、斜陽産業と呼ばれる伝統の繊維産業を通して町おこしを狙っている。

 近年、市場の魅力を増してきた中国に関心をもち、連続3年、上海への売り込みを続けている。しかし、まだ取引成立の実績どころか、販売してくれるところも見つかっていない。そこで、中国人消費者の心を掴めるコツを誰かに教えてもらえないか、と考えはじめた。彼らの努力を応援している県の方が地元の市場調査と取材に訪れた私を彼らとの会合に誘ってくれた。事情を聞いた私は、家業とは言え、若手経営者らの意欲に感心し、会合に出た。

 私を待つ会場には、傘やバッグなどの商品が数多く置かれていた。しかし、色やデザイン、販売価格などを確かめた私は、思わず表情を曇らせてしまった。日本でも売れていない商品ばかりだ。それをそのまま中国に持ち込んで売りさばこうと思っているなら、中国市場に対する基本知識もまだ掴んでいないと直感した。

 そこでこれまでの中国でのビジネスについて確かめてみた。

 「中国に持っていった商品について、現地での市場調査を行いましたか?」

 すると、商品の色、模様、デザイン、販売価格などについて消費者調査をまったくしていないことが判明した。それでは、性急な中国での販売を考えるよりも、むしろ現地の消費者の好みや市場ニーズ、類似商品との比較調査などを先に進めた方がいいのでは、とアドバイスした。

 さらに、これらの商品開発は女性、特に若い女性がかかわっていないだろうと単刀直入に訊いた。「はい」という素直な回答が返ってきた。若い女性デザイナー、可能ならば、日本の事情もよく知っている中国人の若い女性デザイナーに商品開発を任せ、そして、今まで生産してきた商品、もっていた商品のイメージを完全に捨てて、白紙の状態から商品開発を考えてはどうか、と提案した。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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