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岸博幸の政策ウォッチ

スマホが子どもにもたらす「隠された3つの弊害」

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第44回】 2016年10月28日
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スマホを子どもに持たせる親は、世間で語られているスマホの弊害を、もっと別の側面からも理解しておくことが必要だ。その「隠された3つの弊害」とは?

 最近、小学生や中学生の親御さんと話す機会が多いのですが、そこで多くの親御さんが「子どもにスマホを持たせていいのか」について悩んでいることがわかりました。

 友達が持っていると自分も持ちたがるのは子どもの常ですが、親御さんの立場からすれば、緊急連絡などで便利とはいえ、ネット上にはポルノなどの不適切なコンテンツが氾濫し、SNSを使ったイジメもあるとなると、当然不安になると思います。

 ただ、多くの親御さんに、スマホが持つ別の側面におけるもっと深刻な悪影響もぜひ理解しておいていただきたいと思います。子どもがスマホを持ったら、間違いなくウェブサイトの閲覧、SNS、ゲームなどをフルに使いこなしますが、それが度を過ぎてスマホを使い過ぎると、子どもの能力を低下させるという危険性についてです。スマホは3つの弊害をもたらすからです。

ポルノやSNSいじめだけではない
スマホがもたらす「隠れた3つの弊害」

 弊害の1つ目は集中力の低下です。スマホを使いこなしている人はだいたい例外なく、ウェブサイトの閲覧、友人のフェイスブックへの書き込みのチェック、LINEで友達と会話、と多くの人が忙しく画面を変えています。

 ネット上でコンテンツを提供する事業者は、ページビュー数が増えてこそ儲かるので、たくさんのページを見てもらえるよう、たくさんのリンクを貼っていますし、スマホはやれメールが届いた、やれLINEで新しいメッセージが届いたなどと、毎回ご丁寧に知らせてくれるので、そうなるのは止むを得ません。

 しかし問題は、人間の脳は見事なまでに環境に順応してしまうので、このマルチタスクをずっと続けていると、脳が常に新たな情報という刺激を求めるようになってしまう、ということです。

 その結果として、人間の集中力は低下することになります。試しに、スマホに触らずに1時間集中して本を読み続けることができるか、やってみてください。スマホ中毒の人ほど、メールやメッセージの到着を知らせるスマホの誘惑に打ち勝って、集中を続けるのは難しいはずです。

 2つ目の弊害は、スマホを使い過ぎると行動全体が受け身になってしまうということです。スマホ上でマルチタスクで忙しく画面を変えていると、つい能動的に情報を集めている気分になりがちですが、実際はどうもそうではありません。

 多くの人が、自分がブックマークしたウェブサイトを見たり、SNSでの友人の発言を見たりと、ルーチンのように決まった場所を巡回しているのではないでしょうか。また、ネット上で調べものをする場合も、検索した後は、検索結果やそこから行った先のサイトに貼られたリンクをクリックしている場合が多いと思います。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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