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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

人民元の下落は当面続くと考える理由

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第48回】 2016年11月2日
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 中国人民元(CNY/RMB)の対ドルの下落が止まらない。最近、6年ぶりの元安水準を付けた。長く守られてきた1ドル=6.7元のラインも割って下落している。2008年9月のリーマンショック以降、緊急対応で固定した6.82~6.83元のレベルが見えてきている。

 中国の通貨制度改革は、変動相場制と取引通貨の加重平均のバスケット通貨に向かうものの、その途中で経済危機が発生すると、緊急対応で対ドル固定相場制に戻す、ということを繰り返している。何かあった時は、やはりドルなのである(中国人民元について詳しくは、拙著『通貨経済学入門(第2版)』(日本経済新聞社)ご参照いただきたい。かなりのページを割いて、仕組みや歴史を始め、詳しく解説している)。

 この今回の下落は、当面続くと考えている。

 まずは米ドルと人民元のファンダメンタルズを見てみる。今回の元安は、現在の日本円安と同様に、米国の中央銀行FRBの利上げ観測が大きいせいなのも事実だ。中国はGDPこそ6.7%の成長率となっているが、輸出が前年対比で約1割落ちており、国内の生産過剰を支え切れない。また不動産バブルも膨らんできており、その崩壊の危険度が上がってきているとともに、引き締め政策も実施している。

10月に入ってからの
下落が大きいのはなぜか

 とくに10月に入ってからの下落が大きいのには理由がある。それは10月1日に、中国人民元が念願であったIMFの通貨SDRに組み込まれたのが大きな要因となっているのだ。

 9月後半の人民元の動きは安定していた。これは、正式にSDRに組み込まれる前に不安定な動きをしていると、国際通貨の代表(お墨付き)であるSDRに参加する資格なし、として取り消しになるリスクがあったからだ。そのため、中国当局は大量の人民元買いドル売りの介入を繰り返してきた。それは外貨準備高(ドル)の減少で分かる。それが10月1日に正式にSDRに組み込まれると同時に為替介入も停止。非常に分かりやすい動きで、必然的に人民元は下落したのである。

 問題はこれからだ。経済では急激な動きは望ましくなく、通貨もそうだ。すでに当局(国家外貨管理局)は、顧客に売却する外貨に制限を付けるなど、資本規制を強めている。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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