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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

中国の為替政策は「対ドル人民元高」

「通貨バスケット」が好きな中国

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第34回】 2016年4月20日
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 金融、特に鉄火場ともいえる金融市場に関しては、経済理論よりも、現場で実際にやってみなければわからないことがたくさんある。実務経験が重要で、それがないと実際の金融市場の理解はおぼつかない。

 中国当局は現在、人民元を、後述する「通貨バスケット」を参考に運営している。しかし、筆者のディーラー経験から見ても、現場では通貨バスケットを念頭としたディーリングは非常に面倒くさく、結局は対ドルの取引にシフトしていくものである。中国の通貨当局も市場をにらみ、ドルに連動させた人民元高政策を進めるものと考えられる。

そもそも通貨バスケットとは何か?

 通貨バスケットとは、様々な通貨をバスケット(かご)にまとめるかのように、加重平均した人工的な為替レートのこと。自国通貨を通貨バスケットに固定(連動)させる、あるいは参考にする通貨制度を、通貨バスケット制という。加重平均の比率は、一般的には貿易量等に応じて設定することが多い。また、この算出された加重平均のレートと一定の変動幅(ターゲットゾーン)を設けることもある。

 為替政策で通貨バスケットを使う理由は、米ドルなど一つの通貨に連動させるよりも変動が穏やかになることに加え、その国の経済の対外関係がより正確に反映されるメリットがあるからだ。逆にいうと、為替レートに対するその国の通貨(金融)政策の影響は少なくなるという特徴がある。

中国当局は通貨バスケットがお好き

 先日、筆者は上海郊外の住宅街にある中国外貨取引センター(CEFTS: China Foreign Exchange Trade System )を訪問した。一般的にインターバンク(金融機関間)の為替取引(ディーリング)は、以前はボイスブローカー(人)経由や直接電話取引が行われていたが、最近では電子ブローキングシステム(Electronic Broking System:EBS)経由で取引されるようになっている。しかし、中国では電話などのネットワークで自由に取引ができるわけではなく、インターバンク為替取引も、先物取引のように“取引所内”で取引・管理されている。その取引所に当たるのが、中国人民銀行傘下の組織CEFTSである。

 現在、取引されている通貨は14通貨(表参照)で、ここで成立した取引は上海清算所(SHCH:Shanghai Clearing House)に送られる。このような仕組みで、中国ではインターバンク取引のリスクの管理・低減を可能にしているわけだ。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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