新生銀行が揺れている。今夏に実施された社員の意識調査の結果が10月に社内で共有されたが、それがあまりに悪かったのだ。本誌は結果が記された資料を入手(写真)。かつて産業金融の名門として名をはせながら、破綻を経て今や大手行で唯一、公的資金返済が滞る新生銀行の内部で何が起きているのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)
新生銀行の組織健全度は世界最下層レベルにある──。そのことを明示する資料を本誌は入手した(写真)。
この資料に描かれている表は、新生銀行が米コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに依頼して今夏に社内で実施した、社員の意識調査に関する結果を示している。マッキンゼーが10年超にわたって、世界中の1300を超える組織への調査で蓄積したノウハウによって確立された、「組織健全度指数」(OHI)という手法による分析結果だ。
経営陣によるマネジメントについて、経営陣自身も含めた社員全体が評価を行い、組織の「リーダーシップ」「社風」「業績・リスク管理」など全9項目を100点満点で点数化。その結果を基に、組織のパフォーマンスを示す「OHIスコア」をはじき出す。
OHIスコアと9項目の点数は、マッキンゼーの組織健全度調査のデータベースと照らし合わせて、調査対象企業のグローバルでの立ち位置を4階層で評価。階層に応じて色分けされる。最上層は青色、中上層は緑色、中下層は黄色。最下層だけは2色あり、グローバル比較指標との差が25ポイント未満であれば赤色、それ以上の開きがある場合は茶色で表示される。
表の列には左から順にOHIスコアと9項目が並び、表の行には上から順に執行役員以上、部長級、主任といった役職階層が並ぶ。役職ごとの各項目の点数と、グローバル比較による評価が分かるというのが、写真にある新生銀行の組織健全度調査の結果なのだ。
これらを踏まえて、あらためてこの調査結果を見ると、新生銀行の組織健全度における深刻さが映し出されていることが分かる。
表の下から2番目にある「新生銀行平均」の行を見てみると、全項目が赤・茶色。グローバルの最下層レベルにあることが分かる。さらに、「方向性」「業績・リスク管理」「組織スキル」「イノベーション・学習能力」「外部志向」の5項目は茶色。すなわち最下層中の最下層という評価だ。