大谷選手のリアル二刀流の
行き着く先を見たいと思わないか

 北海道日本ハムファイターズ大谷翔平選手の“二刀流”に、今シーズンはさらに磨きがかかった。規定投球回数、規定打席数に及ばなかったとはいえ、投手として21試合登板で10勝4敗、打者として104試合出場で打率3割2分2厘、22本塁打、67打点は、一流投手、一流打者2人分の実績を1人で挙げているようなものだ。

日ハム大谷の二刀流をビジネスマンこそ見習うべき理由二刀流はどっちつかず―― 一見もっともな批判だが、異なるジャンルの能力を磨くことは、実はビジネスパーソンには非常に有効だ。大谷翔平を見習って、大いにリアル二刀流を実現してもらいたい

 大谷選手が喝采を浴びるのは、実績もさることながら、「エースで4番」という少年の夢を体現しているからに違いない。

 通常、エースで4番の夢は、成長につれて断念させられるものだ。「一流を極めるためには、投手か打者かどちらかに専念すべきだ」「体のつくり方や育成の仕方が全く異なるから1本に絞るべきだ」「チーム力を極大化するために1人2役は不要だ」…。専門家を育成し、組織力で勝負するというプロ野球のセオリーに照らし合わせると、二刀流は異端なのだ。

 事実、これほど実績を上げている大谷選手に対してさえ、投手に専念すべきだという論調は依然強い。「これまでの歴史を塗り替える超一流の実績を、投手としてあげるに違いない」という、これまで見ぬ世界を見せてほしいという願いから発する見解がある一方で、「二刀流を続けられるほど、プロの世界は甘くない。少しでも早くどちらに専念すべき」という保守的な見方もある。「故障の危険を回避したいメジャーでは、二刀流としての契約に踏み切る可能性は低い」という報道も出ている。一方、二刀流を支持する論調は、今のところ見られない。

 読者のみなさんは、大谷選手の二刀流が行き着く先を見てみたいと思わないだろうか。想像もできないような新しいプロ野球選手のモデルを大谷選手が示してくれる、そんな期待に蓋をすることが、私にはどうしてもできない。それは、今日のビジネスパーソンにも二刀流が必要だと強く思うからなのだ。