トニー・シェイは、仕事とプライベートを区別するワーク・ライフ・バランスではなく、仕事も人生の一部であり、一つのものとしてとらえるよう主張している。ザッポスをプライベートと同じような場所にすることができ、仕事を楽しめる人たちがいる場所にしようと心血を注いでいるのである。

 こうしてザッポスの社員は社員同士のつながりを深め、会社にやらされるのでなく、自分のこととして仕事をとらえ、(ザッポスの場合は)幸せを届けるという目的のために、懸命に働き、会社と自身の成長のために変革に主体的に取り組むのである。

ゲームで社員同士の結びつきを強める

 最後に、ザッポスの社員同士の結びつきを深める取り組みのひとつを紹介しよう。ザッポス社員がコンピュータにログインする際に、ログインとパスワードと共に必要なのが、ランダムに表示される社員の顔写真を見て名前を当てる「フェース・ゲーム」である。

 以下のブログ内にフェース・ゲームをイメージできる動画がある。1)動画を見てザッポス社員の自己紹介を聞き、2)社員たちの名前を覚える、3)出てきた社員の名前を選択して、クリック、4)正解すると次の問題に進む(残念ながらプレゼント応募期間は終了してしまっているので、現在は遊ぶだけであることをお断りしておく)。

 トニー・シェイは、上掲書で「会社に強い結びつきを感じる社員はより生産性が高いという傾向には、多くの研究の裏付けがあります。社員の会社との結びつきを示す代表的指標は、その社員が社内にどれだけ友人がいるか、または社内に親友と呼べる人がいるかどうかです」と述べている。

 元気のない多くの日本企業で、仕事の後の一杯が嫌われるようになり、成果主義の副作用による社員の孤立が問題視され、ワーク・ライフ・バランスが声高に叫ばれるようになる一方で、ザッポスのような急成長を続ける企業が、社員同士の結びつきを強めるこうした努力を続けているというのは、なんとも皮肉ではある。

 次回は、トニー・シェイが注目するポジティブ心理学なども参考にしながら、彼らの幸せを届けるというビジネスモデルを紹介する。


 ★絶賛発売中!

 『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』
 ザッポスCEOトニー・シェイ著
 試読版もダウンロード可能なブログは
こちら