ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経営のためのIT

IoTとシェアリングエコノミーが
同時に急拡大するのは、偶然ではない

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第62回】 2016年11月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

IoTとシェアリングエコノミーはどちらも注目のキーワードであるが、これら2つは一見あまり関係がないように見られている。しかし、今まさに始まっているデジタル産業革命によって作り出されていく世界を想像すると、これらが共に重要な要素であるとともに、互いの組み合せによって相乗効果がもたらされることがわかる。

デジタル産業革命の到来

 現在が、経済・産業における大きなパラダイムシフトの入り口であるということは、日本国内ではまだ十分に認識されているとは言い難いが、欧米(特に米国およびドイツ)では、政府、企業、各種業界団体などは着々と準備を進めている。

 これから起こる変革を、インダストリー4.0やインダストリアル・インターネットの動きをこれまでインターネットの普及を中心としたIT革命と区別して「第四次産業革命」と称する場合もあるが、情報通信技術を核とした変革という点でこれらを延長線上の出来事と捉え「第三次産業革命」と呼ばれることもある。そこに論点を置かないため、ここでは便宜的に「デジタル産業革命」と呼ぶこととする。いずれにしても、資本主義市場経済と持続的再利用型経済を組み合せたハイブリッド型の経済社会へのシフトを意味する。

 第一次・第二次産業革命が作り上げてきた工業化によって形成されたコミュニケーション、エネルギー、輸送の様式は、中央集中型で専有的なものであり、規模の経済によって効率と生産性を高めることができてきた。しかし、その最適化には限界が見えてきたことに加えて、デジタル技術の進展によって物理的な制約を排除した、新たな経済活動が可能となりつつある。第三世界を含むグローバル化による延命の道は残されてはいるものの、需要拡大に支えられた資本主義市場経済には陰りが見え始めている。

 今後30年から40年を経て、物理から仮想へ、製品のスマート化、所有から共有へ、資源の循環・再生への移行がさまざまな分野で進み、オープンで分散(P2P)型の限りなく費用がゼロに近い共有型の経済システムが形成されていくことが予想され、これを持続的再利用型経済と呼ぶ。一方、モノを生産し消費することで富を得る資本主義市場経済が完全に消滅するわけではない。すなわち、デジタル産業革命によって資本主義市場経済と持続的再利用型経済が組み合わされたハイブリッド型の経済社会へとシフトしていくことを意味する(図1)

出典:ITR
1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
IT&ビジネス
関連記事
クチコミ・コメント
facebookもチェック

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


経営のためのIT

日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

「経営のためのIT」

⇒バックナンバー一覧