「正しい判断」ができるリーダーに必要なこと

 リーダーの仕事は多岐にわたりますが、最も重要な仕事を1つあげるとすれば、それは「判断」です。

「判断」は戦略立案においてとても重要です。経営戦略とは企業の「方向付け」をすることですが、会社のビジョンや理念の上に立って外部環境と内部環境を正しく分析し「何をやるか、やめるか」を決めることです。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 外部環境とは企業自身がコントロールできないことの全てを指します。ライバルの動向、景気、人口の変化、環境問題、法律などのこと。一方、内部環境は企業がコントロールできるヒト・モノ・カネや時間・情報といったことです。

 リーダーであれば内部環境をライバル他社と比較して自社の「強み、弱み」がどこなのかを客観的に把握しなければなりません。そして、さらには、(1)外部環境を見極める力と(2)正しい考え方が必要です。

 ただしこの2つは一朝一夕に身につくことはなく不断の努力が必要です。そこをきちんと理解し、それに基づいた判断力を持たなければ、思いつきで判断してしまい、間違った判断が続けば、もちろん、会社が行き詰まってしまいます。

 近鉄グループの中興の祖である佐伯勇さんは「判断」という仕事について「独裁すれども独断せず」と言っています。

 判断する前には役職を問わず社内の衆知を集めました。そしていろいろな意見を集約した上で、最後は自身で決断を下します。

 衆知を集めた上での自分の判断は独断ではありません。そして、決めた後は、“独裁者”となって、部下にとことんやらせる。ここも大事です。

 とことんやらせなければ判断通りの結果が出ないし、万が一判断を間違えていた時は、早く結果が出るので、傷が浅い段階で引き返すことができます。

 ダメなリーダーはその逆で「独断すれども独裁できず」です。

 つまり自分の狭い考えや判断能力に基づいて決断したものの、部下にとことん実行させる力がない。そのため間違えた仕事をダラダラと続けてしまい傷口を大きくするのです。