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就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

「『組織をまとめる力』より『調整力が強み』のほうがしっくりくるんですよねぇ~」

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第5回】 2011年1月26日
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「○○力」アピールでは、採用されない

 「先生、ESを何度も書いていたら、何が何だか分からなくなってきました。ちょっと聞いてもらっていいですか?」

 ESというのはエントリーシートの略である。私が就活をしていた15年前は、ハガキ一枚送っておけばたくさんの企業から説明会などに呼んでもらえたが、今ではセミナーに行くにも面接に呼ばれるにも、まずはエントリーシートを書かないといけない。要は自己紹介&自己PRの書面だと思えば問題ない。

 「最初の頃は、『物事や組織をまとめる力』が自分の強みだと思っていたんです。でも、友達からは『調整力が強み』だと指摘されて、たしかにそれは自分としてもしっくりくるんですよねえ~。でも、こういうのってどう書けばうまく伝わるだろうと思い始めると、何だか分からなくなりました」

 「君に調整力があるかどうかは知らないけど、どう書いても、ある程度は伝わると思うよ。ただ、今悩んでいることは、実は就活でそれほど重要ではないよ」

 「えぇっ!?」

 「企業はそういう『○○力(○○できる能力)』で、学生を採用しているのかな?」

 「うーん…」

 「組織をまとめる力、あるいは調整力をアピールする学生って世の中にどれぐらいいるだろうね? 結構な数いるんじゃない? もし企業が『○○力のある学生』という基準で採用をしているなら、みんなそれをESに書いちゃうよね。そしたら、募集人数の上限を越えちゃうんじゃない?」

 「たしかに…そうかもしれませんね…」

 「『部活で部長をやっていました』という学生は、うちの大学だけだと数十人程度しかいない。だけど、全国の大学を合わせるとものすごい人数だよね。TOEIC800点持っている学生も、周りでは少ないかもしれないけど、全国合わせるとごまんといる。学生の多くは、就活はスペックをアピールすべきと思っているけど、それは勘違いなんだよ」

 「スペックって何ですか? あの~、日本語でお願いします

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
保田氏ブログ

 


就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

北海道のとあるのんびりとした国立大学。就職率は悪くない。ここのビジネススクールで教鞭を執る著者のもとに、毎日やってくる大学3年生の学生たち。就活、進路、恋愛、人生……。不安と悩みを抱えながらも、どこかのどかで牧歌的。そんな彼らは、本当にいわゆる「ゆとり」なのか? リアルな現場の一コマを毎週リポートする。※連載は全9回

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