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森信茂樹の目覚めよ!納税者

トランプの税制改革は必ずしも公約通りにはいかない

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第125回】 2016年11月24日
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トランプ新大統領の経済政策には、大幅な減税とインフラ公共投資が米国経済を活性化するのではないかという期待と、膨れ上がる財政赤字がレーガン時代のような経済混乱をもたらすのではないかという懸念が交錯している

 トランプ大統領の誕生が世界を揺るがせている。排外主義や内向きの外交政策には、多くの懸念が寄せられているが、経済政策については、大幅な減税とインフラ公共投資が米国経済を活性化するのではないかという期待と、膨れ上がる財政赤字が、1981年のレーガン大統領1期目のような経済混乱をもたらすのではないかという懸念が交錯している。今後トランプの経済政策が現実路線へどう変わっていくのかが注目ポイントだ。

 では税制改革はどうなるのだろうか。

 まずは所得税改革である。課税最低限を大幅に引き上げると同時に、税率を3段階に簡素化し、最高税率を33%に引き下げるという内容で、あらゆる所得階層に減税を公約している。

 しかしこれには、巨額の財源を必要とするだけでなく、累進税率を弱めるので、減税額・減税率ともに高所得者の方が多くなり、現在より所得格差を拡大してしまう。

 すでに、下位4分の1の層が100ドル程度の減税額であるのに対し、上位4分の1は2万5000ドルを超える減税になる、上位0.1%の富豪層は130万ドルの減税になるという試算もシンクタンクから出されている。

 もっとも、ウォール街のファンドマネジャーの得る巨額な報酬(carried interest)に対する増税を行うことも公約しており、バランスをとることも考えられている。

 

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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