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「引きこもり」するオトナたち

オバマ批判はできても「自分の明日」は語れない
引きこもりに多い“セカイ系”の不思議な生態

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第53回】

 最近、「セカイ系」と呼ばれる人たちが増えているという。

 セカイ系とは、自分自身の思考が、内面にある「自分」の問題の次に、平和や環境といった「世界」の出来事があるという意識傾向を持った人たちのことだそうで、その「自分」と「世界」をつなぐ「真ん中」がすっぽり抜けているのが特徴だ。

 元々、インターネット上で広まった言葉らしいのだが、引きこもる人たちの間でも、そのまま自らに当てはめて、使われるようになったようだという。長年、引きこもる若者たちの支援や就労活動に携わってきたNPO法人「育て上げネット」(東京都立川市)理事長の工藤啓さんによると、当事者自らが「自分はセカイ系だから…」などとネーミングしているらしい。

 工藤さんによると、こうした「思考が自分の次にセカイ」という意識傾向を持った人たちは、自らの頭が良すぎるために、自分は動けないけど、机上で「世界や社会には問題があるのではないか」と常に考えているタイプが結構多いそうなのだ。

 もちろん、意識的に、あるいは特性として真ん中が抜けている人もいる。また、何らかの医療的な問題があって、「自分」と「世界」がいきなりつながってしまう人たちもいるので、一概にくくれない部分もあるのかもしれない。

知識やうんちくを熱く語り続ける
「セカイ系」の人々にある孤独

 ただ、なかなか仕事に就くことができずにいるのに、政治や経済だけでなく、社会とか文化とかの話になると、とうとうと語り出す人たちを「引きこもり」の取材現場でも何人か見てきた。

 「子どものころ見ていたドラマの『金八先生』シリーズが終わるらしいけど、当時流行った“ツッパリ”とか“なめ猫”とか、意図が理解できなかったんです」

 先日も、20年近く引きこもっている40代の男性が、食事しながらインタビューしているときに、そんな話を唐突に切り出してきて、こう続けた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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