ファストリはまだダメじゃない
子会社ジーユーの際立つ存在感

ジーユーが兄貴分のユニクロをたぶん追い抜く理由ユニクロを展開するファーストリテイリングの勢いが落ちている。大幅減益決算を見て嘆いた投資家も多いだろう。しかしグループには「ジーユー」という絶好調の事業がある。そのビジネスモデルはなぜ強いのか?

 ユニクロを展開するファーストリテイリングの勢いが落ちている。今年10月に発表された直近2016年8月期決算は増収減益。ただ増収といっても、売上高1兆7864億円は前期比6%増とユニクロらしくない低成長で(国内ユニクロ事業自体は前期比3%増とさらに低い)、一方の純利益は半減しており減益幅は非常に大きい。

 ユニクロの店舗も以前ほど客が溢れ返っている感じでもないし、「ユニクロはもうダメなんじゃないか?」という声が聞こえてくるのは無理もないだろう。

 ただ、エコノミスト的視点で言うと、ダメというのは言い過ぎで、国内ユニクロ事業の売上は過去5年で年率6%台の成長スピードを保ち、じわじわと微増を続けている。ユニクロ1号店が開店したのが1984年だから、今年でユニクロ事業は32年目。事業の寿命という観点で見れば、確かに成熟期にさしかかっているのは事実であるが、事業というものはそもそもそういうものだ。

 他の多くのビジネスの寿命が30年程度であるのと比較すれば、ユニクロは40年目くらいまでは今の規模の収益を稼ぎ出すことだろう。国内ユニクロ事業には、それだけの強みが存在している。

 ただ、ファーストリテイリングの株主から見れば、この状況はかなり期待外れだろう。投資家がユニクロに期待していたことは、H&MやZARAのようなグローバル競合を超えることだ。

 ファーストリテイリングのIRページに世界の競合との比較表があるが、ZARAグループの売上高2.6兆円、H&Mの売上高2.4兆円と比較してファーストリテイリングは1.7兆円弱と、上位2社をターゲットに入れる前に失速を始めた観がある。そこが投資家には不満な点である。

 では、投資という観点でファーストリテイリングがあまり面白くない投資対象なのかというと、実はそうではない。一段階深く見ると面白い状況になっている。それはジーユー(GU)という存在だ。