未だ不動産バブルの中国で、誰も固定資産税を納めていない理由“1億円化”する上海の内環状線内の住宅

上海中心部は
1億円マンションだらけ

 日本人の間では「終わったはずの中国不動産バブル」だったが、実はその後も過熱を続けていた。今年に入り北京や上海などの沿海部の大都市で住宅価格がさらに上昇し、“住宅投機家”らは空前の利益をむさぼっている。

 上海市の古北新区の住宅価格を定点観測する筆者だが、さすがにこの秋の上昇には驚いた。同区の2LDK中古マンションは、2015年9月に480万元(1元=約15円、約7200万円)の値段をつけていたのだが、今年9月には850万元(約1億2750万円)と、たった1年で77%も上昇してしまったのだ(何を隠そう、ここは筆者がかつて賃貸で借りて住んでいた住宅であり、不動産業者から何度も購入を勧められたこともあったため、悔し涙を飲んでいることは言うまでもない…)。

 上海市の内環状線の内側では、いまや“1億円の中古マンション”が溢れ返るほどある。街の不動産屋の窓ガラスに貼られた新規供給マンションは、総額600万元を超えるものばかりになった。

 ちなみに、「上海市の内環状線」といえば、「山手線圏内」に匹敵するとも言われている。この上海における住宅バブルの状況を「山手線圏内のマンションが築年数の長短を問わず、そのほとんどが“1億円化している”」と説明すれば、その異常事態のほどがお分かりいただけるだろう。

 実際、筆者の友人も今年、2年前に購入した住宅を売却し、日本円換算で数千万円の利益を出したという。冒頭で述べたように、日本では「中国の住宅バブルは2014年で終了」したことになっているので、こうした話を聞くと「え、そうなの!?」とわが耳を疑うことになる。