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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国でゴーストタウン続出、無謀な開発が止まらない実態

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第286回】 2016年8月18日
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中国各地で経済発展の原理を無視した無謀な開発が進んでいる

 いまから5年前のことになる。2011年夏、シルクロード沿線を訪問した私は、中国西部の甘粛省の首都蘭州市で、当時開発中だった「蘭州新城」といわれる大規模土地開発の現場を視察した。

 そこで現場幹部が披露した開発プランを見て呆れてしまい、30分も経たずに現場を離れた。降水量が非常に少ない蘭州に、杭州の西湖のような湖を造成して世界中の企業を誘致したいという紹介を聞かされたからだ。

 さらに2年が経った2013年、中国は水増しのGDPは要らないと公式に宣言した習近平時代になった。その蘭州新城の開発現場を暴露する報道がどっと溢れ出た。このコラムでは、その記事の一部を読者に紹介した。詳しくは「習政権の経済運営方針を反映する中国西部・蘭州新城開発のストップ」をご参照されたい。

 経済が低迷しているいま、中国はゾンビ企業を問題にしている。この蘭州新城(現在は蘭州新区となっている)も、ある意味ではゾンビ企業のような存在となっている。最近の中国の報道をまとめてここでお伝えしたい。

ゴーストタウン化する
高層ニュータウン

 蘭州中川空港の西南方向にある中川大道は、蘭州新区で最もにぎやかなエリアである。2階建ての建物が連なる商店街は伝統的な地方の自由市場のような趣である。だが、この通りをはずれると、新区の夜は明かりのない真っ暗な高層住宅が立ち並び、ひっそりとしている。

 4年前、秦王川に位置する蘭州新区が正式に承認され、中国で5番目の国家級新区となり、狭い蘭州が外側に拡大発展する使命を担った。

 新区の概念、素晴らしい計画、安い土地がデベロッパーを引きつけ、緑地・碧桂園・龍林・亜太など多くの開発業者がもとは田畑だった秦王川の3つの鎮(町)を瞬く間に高層マンションが立ち並ぶニュータウンに変えた。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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