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「神宮球場使用中止」を要請する五輪組織委の傲慢

相沢光一 [スポーツライター]
【第392回】 2016年4月12日
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写真左の空き地が国立競技場建設予定地、間に神宮第二球場を挟んで右側が神宮球場

 4月5日、2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が大会前後の神宮球場使用中止を要請していることが明らかになった。

 組織委が使用中止を求めているのは、以下の理由からだといわれている。

●メイン会場の新国立競技場周辺は通行止めなどのセキュリティー対策が不可欠であり、隣接する神宮球場が使用されていると、それに支障が出る。

●五輪開催のための資材や放送機材の置き場所、観客の待機場所として球場を使いたい。

 こうした用地は神宮球場だけでなく、第2球場やテニスコートなど神宮外苑すべてが含まれるという。

頭越しに「大家」へ
突然の使用中止要請

 神宮球場の正式名称が「明治神宮野球場」ということでも分かるように所有者は宗教法人明治神宮。組織委はこの明治神宮に使用中止の要請をした。

 神宮球場は1926年の開場以来、90年間にわたり東京六大学野球や東都大学野球のリーグ戦、東京都の高校野球予選会場などに使用されてきた。と同時に1964年から東京ヤクルト球団の本拠地となり、プロの試合が行われている。こうしたアマチュアの野球連盟や球団は明治神宮から貸与を受けて試合を開催しているわけだ。

 使用中止になれば困るのは連盟や球団だが、こちらには何の相談もなしに組織委は地権者の明治神宮に「五輪期間前後は貸与しないで」と要請したのである。いわば大家に一時的ではあるが、店子を追い出してくれと言っているようなものだ。

 また、その要請の内容も連盟や球団を困惑させるものになっている。2020年の五輪が開催されるのは7月24日から8月9日まで、続いてパラリンピックが行われるのは8月25日から9月6日までだが、使用中止はこの1ヵ月半ではなく、5月から11月末までの半年に及ぶ。これでは六大学や東都の春と秋のリーグ戦はできないし、夏の高校野球の東京都予選も開催不能。東京ヤクルトもほぼ1シーズン、本拠地での試合が開催できなくなる。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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