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説明責任、推定無罪、問責閣僚の交代、参院改革――小沢問題とねじれ国会をめぐる4つのキーワードで考える「政治の自殺行為」

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第3回】 2011年2月9日
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「説明責任」
――客観的な基準を明らかにすべき

 小沢一郎元民主党代表が、検察審査会の起訴相当の議決に基づき強制起訴された。小沢氏は法廷で無実を主張する方針を表明し、離党や議員辞職を否定した。また、小沢氏の政治倫理審査会への出席はいまだに実現していない。野党、マスコミだけでなく、菅直人首相、岡田克也民主党幹事長など民主党政権内部からも、小沢氏が国会で「説明責任」を果たし、政治家としてのケジメをつけるべきだとの発言が相次いでいる。

 「説明責任」は、いまや政局のキーワードだ。しかし「説明責任」という言葉の意味は明確ではない。嫌疑をかけられた政治家は、どこまで国民に対して説明をすれば「説明責任」を果たしたとされるのか、明らかではないのだ。

 これでは、小沢氏が政倫審に出席してなにを話しても、野党・マスコミは「まだ説明責任を果たしていない」と批判するだろう。野党・マスコミは政倫審に臨む前に、小沢氏が果たすべき「説明責任」の基準を明らかにすべきだ。菅首相がその基準を明示するのでもよい。小沢氏の「説明責任」が客観的な基準で公平に評価されるのでなければ、政倫審を開催する意味はない。

ただ、「説明責任」の意味を明らかにしない野党・マスコミの姿勢を理解はできる。小沢問題を巡る政局の本質が「政治とカネ」の問題の根本的解決ではなく、民主党政権を打倒する権力闘争だからだ。しかし、政治学者に「説明責任」の意味を明確にせず、小沢氏に政倫審出席を要求する方がいる。言葉の定義を明確にすることが、学問の第一歩ではないのだろうか。

「推定無罪」――裁判が結審するまで
「政治的・道義的責任」はない

 政治学者の立場から言えば、検察審査会による強制起訴に対しては、裁判が結審するまで起訴された政治家の「政治的・道義的責任」を問うべきではない(前連載第60回を参照のこと)。検察審査会自身が主張するように、「(検察審の制度は)公正な刑事裁判の法廷で白黒つけようとする制度」だ。これは政治家の疑獄事件を扱ってきた従来の特捜事件の裁判とは異なる。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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