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【山梨県】粘り強く働き 相互扶助の精神で団結

都道府県データ:Vol.46

岩中祥史 [出版プロデューサー]
【第46回】 2011年2月10日
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 「人は石垣 人は城」──甲斐国(山梨県)が生んだ戦国時代の名将・武田信玄と配下たちの出陣を描く流行歌『武田節』の有名な一節である。戦いに勝つも負けるも、要は人(兵士たち)の団結いかんであることを歌っているのだが、山梨県人の最大の特徴は、その強い結び付きにある。

 それを象徴するのが「無尽」だ。江戸時代に始まったもので、かつての相互銀行の原型を成した互助システムのことをいう。毎月1度、決まったメンバーが集まって、決まった金額を出し合い、それをプールしておく。メンバーの誰かが、冠婚葬祭はもちろん、商売の資金が足りない、急な物入りがあるといった事態に遭遇したとき、蓄えたお金から融通するのである。

 金融システムが近代化された今では、本来の目的=お金の融通という役割は失われてしまったが、決まったメンバーが毎月集まるという形は今も続いている。実際、山梨県では、職場、地域、同窓・同級、趣味のサークル、近所の主婦同士、集まる単位はさまざまながら、誰もがなにかしらの「無尽」に属している。そのメンバー同士で食事をしたり酒を飲んだり旅行したりなどするわけだが、当然そのつながりは強く、深い。

 山梨県は海がなく、険しい山々と、それに囲まれた盆地から成っている。当然、耕地面積が少ないから経済的には貧しい。となると、誰もがそうした人つながりを大切にしながら、相身互いで生きていくしかなかった。また、普段から懸命に働くし、努力家も多い。倹約を旨としているからお金にも細かいところがある。

 山梨では「めちゃかもん」という言葉をよく聞く。その昔、厳しい自然環境のなかで着物や雑貨品を背負い、村々を売り歩いた人のことである。執念と粘り強さはもちろん、時にはずる賢さも発揮しながら、生きる糧を得る──そんな商売のしかたを示すのが「めちゃかもん」である。

 それだけに、よそから出向いてこの地でビジネスをするのは大変だ。まずは「無尽」の仲間に入れてもらうことから始めないと、一歩も前に進めない。それには相手の信頼を勝ち取る誠実さが求められる。


◆山梨県データ◆県庁所在地:甲府市/県知事:横内正明/人口:86万9132人(H21年)/面積:4465平方キロメートル/農業産出額:788億円(H20年)/県の木:カエデ/県の花:フジザクラ/県の鳥:ウグイス

<データはすべて、記事発表当時のものです>

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岩中祥史 [出版プロデューサー]

1950年、愛知県生まれ。東京大学文学部卒。出版社に勤務後、独立して編集企画会社エディットハウスを設立し、現在、代表。著書に、最新刊『日本を変える「名古屋脳」』(三五館)、『アナログ主義の情報術』(梧桐書院)、『出身県でわかる人の性格』『札幌学』、『博多学』、『名古屋学』(新潮文庫)などがある。各県の気質を調査した、現代県民性評論の第一人者。

 


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