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トランプ政権、いまだ見えない「真の姿」を検証する

安井明彦・みずほ総研 欧米調査部長

ダイヤモンド・オンライン編集部
2016年12月13日
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米大統領選直後から数え切れないほどの報道が出たものの、いまだにはっきりつかめないトランプ政権の「真の姿」を、米国政治 の専門家が検証する Photo:AP/AFLO

米国大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利は、大きな驚きをもって世界に受け止められた。「なぜトランプが勝利できたのか」「新政権はどこへ向かうのか」選挙直後から数え切れないほどの報道が出たものの、いまだに明確な答えは出ない。米国政治に詳しい安井明彦・みずほ総合研究所 調査本部 欧米調査部長に、知られざる世界と米国の変化、そしてトランプ次期政権の「真の姿」を検証してもらった。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、松野友美)

風は最初からトランプに吹いていた
他の政治家では太刀打ちできなかった

――米国大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利は、大きな驚きをもって世界に受け止められました。メディアの世論調査で捕捉できない「隠れトランプ票」が動いたと言われていますが、今振り返ってみると、あの選挙戦は何だったのでしょうか。

 私は「隠れトランプ派」と呼ぶべき人たちが、本当に大勢いたのかどうかは、本質的な問題ではないと思います。むしろ、実際に目に見える形でトランプ支持者が大勢いたにもかかわらず、「まさかトランプは当選しないだろう」という思い込みが、米国メディアや識者の分析眼を曇らせてしまったと言えないでしょうか。

 もっと言えば、メディアや識者には白人の労働者階級が抱える不満の強さが見えていなかった。中西部を中心に、以前は民主党を支持していたかもしれない人々がトランプ氏に流れた。得票数ではヒラリー・クリントン氏が上回ったものの、各州の選挙人を勝者が総取りするという米国大統領選特有の制度もあり、トランプ氏が勝利した。実際にトランプ氏を大統領にしたのは人々の目に見える意思だったということの意味は、大きいです。

――黒人初の大統領となったバラク・オバマ氏は、当初大きな期待を背負って登場しました。しかし、目玉政策だったオバマケア(医療保険制度改革)の成果は賛否が分かれ、在任中に国内の景気を大きく上向かせることもできなかった。期待が大きすぎた反動としての失望が、全くタイプの違うトランプ氏を当選させたのでしょうか。

 オバマ氏には、2つの面で失望があったと思います。1つは経済面で、景気は回復しているものの以前ほど足腰が強くなく、所得の伸びも変わらない一方で、むしろ格差が拡大してしまったこと。もう1つは政治的な問題で、黒人初の大統領が登場して米国が1つにまとまるという期待があったものの、そうはならなかったこと。その反動が今回の結果につながった側面は、確かにあったと思います。

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