それほど甘くない
日ロの領土交渉

日ロ首脳会談が4島返還にこだわりすぎてはいけない理由

 本稿が公開される15日は、日ロ首脳会談が山口県長門市の老舗旅館「大谷山荘」で行われる。

 これまで、マスコミは、2島先行返還、共同統治、ロシア施設権、面積二等分など様々な予測を報道した。

 しかし、日ロの領土交渉はそれほど甘くない。日ロ平和条約を結び、その後2島返還を軸に領土交渉に入るという程度であろう。その上で、日ロの経済協力関係ができるだろう。

 これに対して、現状では、経済協力を条件にとられて2島も返ってこないと酷評する向きもあるかもしれない。

 もっとも、これでも、戦後70年間で1ミリたりとも動かなかった交渉話が「やっと動いた」という意味で画期的なことである。安倍・プーチン以外の誰がやっても、領土交渉は動かなかっただろうことを思えば、上々である。

 それを正しく理解するためには、これまでの領土交渉の歴史を振り返っておく必要がある。

領土問題の解決は
基本的には戦争だった

 領土問題の解決は、基本的には戦争である。平和的に解決したら、ノーベル平和賞ものである。さらに、70年の間に日本外務省の外交失敗もあった。それを今回取り返そうというのだから、かなりの妥協が必要である。こうした妥協は、経緯を知らない人から見れば、それほどの外交成果に見えない。