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クルーズ船の寄港誘致を経済効果だけで語ってはいけない

姫田小夏 [ジャーナリスト]
2016年12月16日
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煙を吐く大型クルーズ船。旧型船はさらにひどく、埠頭が煤だらけになることもあるという

 12月1日、米国司法省はプリンセス・クルーズ社(本社:米カリフォルニア州)に対し、「故意に犯した汚染に対して過去最大の罰金4000万ドル(約46億円)を支払わなければならない」との判決を下した。

 同社は北米最大手のクルーズ船運航会社であるカーニバル・コーポレーション(本社:米マイアミ州)傘下のクルーズブランドのひとつ。今回の4000万ドルという高額な罰金は、同社のクルーズ船が違法に廃油を海洋に投棄したことに対するものだ。

 ワシントンポストなど在米メディアは、「スター・プリンセス」「グランド・プリンセス」などのクルーズ船で「2013年に発覚するまで、過去8年にわたって違法投棄が行われてきた」と報じた。

 日本法人のカーニバル・ジャパンは、「由々しきことだ。だが、発覚以降3年間にわたり、社をあげて環境規制を遵守するよう取り組んでいる」(広報)と話す。

 国際海事機関(IMO)が1997年に発効した海洋汚染防止条約では、油、有害液体物質、危険物、汚水、廃棄物など、船舶の航行に起因する環境汚染防止に厳しい規制が敷かれている。にもかかわらず、行われた違法投棄。ワシントンポストは「他社でも潜在的に行われている」と、その可能性を指摘する検事のコメントを掲載した。

 「クルーズ船」は、日本では新しい産業だ。それだけに経済効果などの輝かしい一面がフォーカスされる傾向があるが、欧米社会では必ずしもクルーズ船を「光」としてのみとらえることはしない。それどころか近年は、世界の寄港地でクルーズ船がもたらす環境汚染に対し、抗議運動すら起こっている。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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