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われわれは いかに働き どう生きるべきか
【第3回】 2017年1月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
ピーター F. ドラッカー [Peter F. Drucker],上田惇生

人間関係のシンプルな真実
半世紀前も今も、本質は変わらない

寿命が延びたからこそ生じる、仕事、キャリア、生きがいの問題に、いま、わたしたちはどう向き合うべきか。実は半世紀も前に、ドラッカーのアドバイスは用意されていた。
1970年代に収録されたドラッカー本人による「幻の研修テープ」が、このたび初めて翻訳され、書籍化された。最終回は、「第2章 上司として成果をあげる」より、本文の一部を無料公開する。

 私たちは、組織やチームで働くなかで、さまざまな役割を持っています。

 “上司として”、部下や後輩、他部署の人々をいかにモチベートするか。社長・役員・部長などトップマネジメント層の“部下として”、いかに上司をマネジメントするか。さらには、“横の関係”、つまり同僚やスペシャリストといかに連携をとるか――。

 衆知を集めて成果につなげていくには、コミュニケーションは避けて通れません。『われわれは いかに働き どう生きるべきか』で紹介されたアドバイスのなかで、最もシンプルで行動に移しやすく、かつ、効果が大きい一節を紹介しましょう。

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マナーは、考えられている以上に重要

ピーター F. ドラッカー
(Peter F. Drucker)
没後10年を超えたにもかかわらず、世界中から注目され続ける「知の巨人」「マネジメントの父」。「もしドラ」の題材となった『マネジメント』、IT起業家のバイブルとなった『ネクスト・ソサエティ』など、その著作は生涯で50冊以上にのぼる。
詳しくは、
ドラッカー日本公式サイト http://drucker.diamond.co.jp/

ドラッカー:人には、身につけることのできるものが三つあります。知識と、スキルと、マナーです。私は、この三つの中では、とりわけマナーの重要性を強調したい。一般に考えられているよりもはるかに重要です。

 人間関係で問題とされていることのほとんどは、実はマナーに起因します。適性や性格ではありません。思いやりさえ、マナーに関わるもの(注1)です。

 私の知っているある若手の企業役員は、仕事本位のやり手でした。しかし、社内では思いやりのある優しい人で通っています。これもマナーのおかげです。

 この人は、全社員の写真入りの名簿を持っています。そこには、誕生日と結婚記念日と子どもの名前が書いてあります。毎月秘書がその月の社員のリストを用意し、毎日15分はそれらの人たちへの電話に費やしているのです。

 部下は皆、彼ほど思いやりのある上司はいないと思っています。仕事本位の、むしろ冷たい人物です。しかしこの人には、身につけたマナーがあるのです。

 知識とスキルとマナーは、誰でも身につけることができます。そして誰もが相手に要求するものです。

 しかも、人の強みは、知識とスキルとマナーがあってこそ発揮されます。そうして実績がつくられていきます。

 何が強みかは、実績から知る他はありません。実績によって所を得る(注2)ようになるしかありません。

注1:心の底から思いやりのある人は多くないが、思いやり深く人と接することは可能である。マナーを身につけ、不要な摩擦を防ぐにこしたことはない、と説く。『ドラッカーの実践マネジメント教室』(上田惇生訳、ダイヤモンド社、2014年)に詳しい。

注2:「最初の仕事はくじ引きである」とドラッカーはよく言う。当然、合わないこともある。だからこそ、自分の強みを知り、強みが生きる仕事や貢献できる組織を探し、「所を得る」ことが大切である。

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『われわれはいかに働き どう生きるべきか』第2章では、ほかに「よき上司がなすべきこととは」「頭で答えを見つけようとしてはならない」「権力への欲求」などに対して、ドラッカー教授のアドバイスが示されています。

続きは、書籍をご覧ください。

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1909年、ウィーンに生まれ、フランクフルト大学卒業後、経済記者、論説委員として働きながら、国際公法の博士号を取得。33年に発表した論文がナチス・ドイツの不興を買い、ロンドンへ移住。保険会社のエコノミスト、投資銀行のパートナー補佐などを経験した後に渡米。39年、ファシズムの起源を分析した『「経済人」の終わり』を刊行。43年、ゼネラルモーターズより同社のマネジメントに関する研究を依頼され、これは46年に上梓された『会社という概念』に結実している。50年ニューヨーク大学教授に就任。54年『現代の経営』を発表。71年にクレアモント大学院大学教授に就任した。
産業界に最も影響力の大きい経営思想家として知られ、「分権化」「目標管理」「知識労働者」など、数々のコンセプトと手法を発案してきた。邦訳されたものだけでも『断絶の時代』『ポスト資本主義社会』『ネクスト・ソサエティ』(いずれもダイヤモンド社)など、ゆうに30冊を超える著書を発表した。またHarvard Business Reviewにはこの“Management Must Manage”をはじめ、35本の論文を寄稿した。この数はだれにも破られておらず、おそらくこれからも破られることはないだろう。なお、これらドラッカーのHBRへの寄稿論文をすべて収録したアンソロジー『P. F. ドラッカー経営論』(ダイヤモンド社)がある。
2005年11月11日、96歳の誕生日を目前に死去。

上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


われわれは いかに働き どう生きるべきか

寿命が延びたからこそ生じる、仕事、キャリア、生きがいの問題……。仕事のみならず、よき人生をいかに生きるかについて、毎日の心得、そしてハウツーを、ドラッカー教授が語りかける。ドラッカー教授が自ら指南した幻の研修テープの、初の活字化。

「われわれは いかに働き どう生きるべきか」

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