箱根駅伝は青山学院大が3連覇と大学駅伝3冠を達成したが、3年後に東京五輪が迫っているせいか、走る選手の中から世界と勝負できる長距離・マラソンのランナーが現れないかといった視点からの解説・報道が多かった。

 往路のテレビ中継解説を担当した瀬古利彦氏は日本陸連が2020年東京五輪に向けて新設した「長距離・マラソン強化戦略プロジェクト」のリーダーを務めていることもあり、「この選手はマラソンに可能性を感じる」といったコメントをしていたし、青山学院大の原晋監督も「駅伝で勝つことだけを目標とするのではなく、競技者としての先を見据えて学生には積極的にマラソンにチャレンジさせる」と語っている。

男子マラソンが強かった
20世紀の日本

 ご存じの通り、日本の男子マラソンは低迷が続いている。

 かつてマラソンは五輪でもメダルが有望な種目だった。1964年東京五輪では円谷幸吉氏が銅メダル、1968年メキシコ五輪では君原健二氏が銀メダル、1992年バルセロナ五輪では森下広一氏が銀メダルを獲得。1988年ソウル五輪、1992年バルセロナ五輪と2大会連続で4位に入った中山竹通氏をはじめ入賞者も数多くいた。

 日本選手がマラソンの世界最高記録を持っていたこともある。1965年に重松森雄氏が出した2時間12分0秒だ。その後、高速化が進み記録は次々と更新されたが、1986年に児玉泰介氏が出した2時間7分35秒は当時、世界歴代3位。記録の方でも日本選手はトップレベルだった。

 この状況は世紀が代わる2001年頃まで続いたが、その後はさっぱりだ。

 日本の男子マラソン記録歴代10傑を見ると、それが分かる。

 順 選手   タイム     記録した年

 1 高岡寿成 2時間6分16秒 2002
 2 藤田敦史 2時間6分51秒 2000
 3 犬伏孝行 2時間6分57秒 1999
 4 佐藤敦之 2時間7分13秒 2007
 5 児玉泰介 2時間7分35秒 1986

 6 今井正人 2時間7分39秒 2015
 7 谷口浩美 2時間7分40秒 1988
 8 藤原 新 2時間7分48秒 2012
 9 油谷 繁 2時間7分52秒 2001
 9 国近友昭 2時間7分52秒 2003