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7つの知性を磨く田坂塾

なぜ、どれほど隠しても「本音」が伝わってしまうのか?

田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]
【第18回】 2017年1月11日
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拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第18回の講義では、前回に引き続き「技術」に焦点を当て、拙著『仕事の技法』(講談社現代新書)において述べたテーマを取り上げよう。(田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授])

一流のプロフェッショナルは、相手の「言葉以外のメッセージ」を感じ取る力だけでなく、相手に「言葉以外のメッセージ」を伝える力も身につけている

上司の「言葉」が信じられない瞬間

 今回のテーマは、「なぜ、どれほど隠しても『本音』が伝わってしまうのか」。このテーマについて語ろう。

 前回の最後に、日々の商談や交渉、会議や会合の後、必ず、「反省」を行い、そこで起こった「深層対話」を振り返ること、「言葉のメッセージによる表層対話」のレベルにとどまらず、「言葉以外のメッセージによる深層対話」のレベルでの振り返りを行うことの大切さについて述べた。

 しかし、「反省」において「表層対話」と「深層対話」を振り返るとき、この二つの対話が、ときに、矛盾したメッセージや相反するメッセージを発していることがある。「反省」においては、まず、そのことに注意しなければならない。

 これは、どういうことか?

 ある職場での、一つの場面を紹介しよう。

 A君が自席に戻ってきた。先ほどまで別室で行われていたB課長との個人面接を終えたようだ。しかし、A君、どこか浮かない顔。それを感じた隣席の同僚、C君が聞く。

 「面接、どうだった?」

 「うん、課長から、色々と励まされたよ…」

 そう答えるA君、励まされたという割に、元気がない。

 「課長、何て言って励ましてくれたんだ?」

 「君は、いずれこの課を背負っていく若手だ。君には期待しているぞ、と言ってくれたよ…」

 「結構な励ましの言葉じゃないか。俺の面接のときは、今期の目標達成、ご苦労さん、良く頑張ったな、だけだったぞ…。期待しているぞと言われて、何が気になるんだ?」

 A君、しばし黙っていたが、複雑な表情で、こう言った。

 「いや、B課長、言葉では、『期待している』とは言ってくれるんだが、課長の雰囲気や目つきからは、あまり温かいものを感じないんだな。言葉だけは良いことを言ってくれるけど、本当は、そう思っていないんじゃないかと感じるんだな…」

 そのA君の話を聞きながら、C君は、心の中で、こう思っていた。

 「そういえば、先日、B課長の机の上に、『部下のモチベーションを高める言葉』という本が置いてあったな…。B課長は、A君のモチベーションを高めようと思って、そう言ったんだろう…。でも、B課長は、本当に、そう思っているんだろうか…」

 これはA君とC君の間で自然に起こった、課長面接の「反省」の場面だが、読者は、何を感じるだろうか?

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田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]

1951年生まれ。74年、東京大学卒業、81年、同大学院修了。工学博士(原子力工学)。87年、米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。同時に、米国パシフィックノースウェスト国立研究所客員研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。戦略取締役を務め、現在、同研究所フェロー。2000年、多摩大学大学院教授に就任。社会起業家論を開講。同年、シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。2003年、社会起業家フォーラムを設立。代表に就任。2008年、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーに就任。2010年、4人のノーベル平和賞受賞者が名誉会員を務める世界賢人会議・ブダペストクラブの日本代表に就任。2011年、東日本大震災に伴い、内閣官房参与に就任。原発事故対策、原子力行政改革、エネルギー政策転換に取り組む。2012年、民主主義の進化をめざすデモクラシー2.0イニシアティブの運動を開始。代表発起人を務める。2013年、全国から3000名を超える経営者やリーダーが集まる場、「田坂塾」を開塾。「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つのレベルの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」への成長をめざし、塾生とともに研鑽を続けている。著書は、知のパラダイム論、未来予測論、地球環境論、複雑系社会論、情報革命論、知識社会論、民主主義進化論、資本主義進化論、産業政策論、経営戦略論、マネジメント論、リーダーシップ論、戦略思考論、プロフェッショナル進化論、社会起業家論、社会的企業論、仕事論、人生論、詩的エッセイ、詩的寓話など、様々な分野において国内外で80冊余。(所感送付先:tasaka@hiroshitasaka.jp
◇主な著書 『知性を磨く - 「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社) 2014
『人は、誰もが「多重人格」 - 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社)2015
『人間を磨く - 人間関係が好転する「こころの技法」』(光文社)2016

 


7つの知性を磨く田坂塾

多くの問題が山積する21世紀、目の前の現実を変革するために、我々は、思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という「7つのレベルの知性」を、垂直統合して身につけ、磨いていかなければならない。知性を磨き、使命を知り、悔いのない人生を生きるために、いま、我々は何を為すべきか。現代の知の巨人が語る。

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