また、消費者にクルマの安全性データを公開する「自動車アセスメント」に関しては、欧州での基準が世界的な影響を与えているが、アメリカはそれを参考にさらに独自基準を設けることもある。そのなかで、日本は欧州とアメリカ、双方の動きを見ながら自らの立ち位置を決めているように思える。

デトロイトショーでの注目は
新型車発表よりトランプ問題

 往路がLAからの車移動だったので、ラスベガスからLAへ5時間強走り、さらにレッドアイ(深夜便)で約4時間飛んでデトロイト入りした。外気は日中でもマイナス10度前後と寒い。

 CESにも顔を見せた日系の大手メディア関係者らは、「デトロイトショーの目玉は、クルマ本体ではなくNAFTA(北米自由貿易協定)」と苦笑い。次期大統領であるトランプ氏がトヨタのメキシコ工場に否定的なツイートをし、それに反応したトヨタが北米への巨額投資を表明したことをはじめ、日産、ホンダ、マツダ、そして日系自動車部品メーカーにとって、NAFTA関連は世界的な事業戦略のなかで重大問題である。

 しかしNAFTA問題があろうがなかろうが、デトロイトショーのメディアに対するインパクトは弱い。ここ数年、自動車業界関係者向けの、いわゆるディーラーショーとしての印象が濃くなっている。次世代の車に関する世界発表の多くが、CESに持っていかれたという格好だった。

 そうした状況の変化に、強い危機感を持った同ショーの主催者が打った手が「AUTOMOBILI-D」だ。自動運転、コネクテッドカー、EV、モビリティサービス、そして都市型交通に関して、産学官やステートアップが発表や意見交換をする場として新設された。ただし開催期間は、デトロイトショーの報道陣向け公開日の1日前から、一般公開が始まる前。一般ユーザー向けではなく、あくまでも既存の自動車業界関係者、及び新たに自動車産業とのコラボを考えている業界関係者向けに特化したイベントだ。

デトロイトショーの冒頭、AUTOMOBILI-Dに登場した、Waymo。FCAと共同開発する自動運転ミニバンの実車を世界初公開 Photo by Kenji Momota

 その冒頭に登場したのが、「Waymo(ウェイモ)」だ。昨年12月、グーグルの親会社アルファベットから独立した自動運転の技術関連企業である。今回の発表で披露したのは、それまで映像と画像のみで紹介してきた、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービル)と共同開発する、ミニバン「パシフィカ」をベースとした実験車両だ。

 ルーフ部分にあり、周囲360度の状況を把握するレーザーレーダー(通称ライダー)は、米ベロダイン社製品などの既存品と比べて製造コストが「9割減だ!」と、アルファベットという巨大IT企業をバックに持つ企業としてのコスト競争力を強調した。実証試験は1月末から、アリゾナ州とカリフォルニア州で合計約100台を使って行う。

 こうして、デトロイトショーでも、メディアの注目はIT系寄りの次世代自動車だ。5~6年に一度モデルチェンジを繰り返し、n数商売(=大量販売)しか想定していない既存の自動車ビジネスに対して、メディアだけでなく、一般ユーザーの関心も徐々に薄れている状況だ。