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三谷流構造的やわらか発想法

違和感から発見する!そのための「予測」トレーニング

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第3講】 2011年3月8日
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日常から「発見」するための、非日常的視点:トヨタの失敗

 発想力とは、発見と探究の組み合わせでした。その中でも、価値ある発見は「非日常的な視点で日常を見つめること」から、生まれてきます。

 ・非日常的視点→日常的状況

 前回取り上げた「宇宙人の視点」も、まさにそうです。宇宙人ゴエモンという、非日常的な視点を通して、日常的日本の風景に潜むおかしさが、あぶり出されたわけです。

 もちろん日常的視点で、非日常的な状況を見ればさまざまな気づきがあるでしょう。見たこともないものを見るわけですから、当然です。でも、残念ながらそれを直接、今の仕事に活かすのは難しい…。

 昔、トヨタ自動車のレクサス開発部隊のヒトたちは、「ユーザーであるカネ持ちのヒトたちの感覚を知らにゃいかん」と、帝国ホテルのスイートルームを1ヶ月間借り切って生活してみたそうです。もちろん皆、初めての経験です。

 1ヵ月後に出た結論は、「ようわからんわ」でした。

 見つけるべきは「日常的に帝国ホテルに泊まる人にとっての、車への新しいニーズ」でしたが、その圧倒的「非日常的経験」に押し流されて、そこまでたどり着けなかったわけです。

 トヨタ開発陣にとってやるべきことは、自分たちがカネ持ちになりきることではなく、もともとカネ持ちのヒトに「非日常的視点」を与えることだったのかも知れません。

日常からの「他人視点」での発見:花王のニュービーズ

 花王の生活者研究センターは、消費者に対する大規模調査でも有名ですが、結構安上がりな「発見」手法も使っています。それは「生活シーン写真の相互観察」です。

 研究員たちが、自分たち自身の生活の中で写真をとりまくって、それを持ち寄ってみんなで見て発見を指摘し合う、という割と単純なものです。自分の生活シーン写真を、自分で見ても発見はないけれど、他人の視点で見ることで何かが見つかるわけです。

 ある日、若手研究員が撮ってきた小学校での授業参観風景を見て、ベテラン上司は「違和感」を感じます。「最近は、参観日でもTシャツなんだな」

 昔は、堅いフォーマルな服装で行くものだった授業参観。今やTシャツがそれに取って代わった…。若い親たち自身では見つからなかった「発見」でした。

 でもそのTシャツは、その親の「勝負Tシャツ」かもしれない。500円でなく、5000円の大切なTシャツかもしれない。ということはカジュアルウェアを「丁寧に洗いたい」というニーズがあるのではないか。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

「三谷流構造的やわらか発想法」

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