冬は「乾燥の季節」と当たり前のように言われるが、それは太平洋側、とくに関東地方においてのことだ。ただし冬季には、比較的湿潤であるとされる地域でも、例えばオフィスで暖房を使用した場合には空気が乾燥してしまうというから、結局のところ全国的な問題なのである。
よって既に万全の対策を講じている人も多いだろうが、ここでは「空気の乾燥の何がいけないの、じめじめしているより気持ちいいでしょ?」とお考えの方々に向けて、その害を説明しよう。
その風邪、乾燥が原因では?
気分の問題はさておき、空気の乾燥は身体にとって確実に悪影響がある。美容の側面からいえば「肌の乾燥」があげられる。乾燥しカサカサした肌には年齢より老けてみえたり、しわができやすいというデメリットがある。かぶれやすい、皮膚疾患を起こしやすいという弊害もあり、美容に関心のない向きにも覚えがあるだろう。
健康面でいえば「風邪をひきやすくなる」点が一番だろう。広く知られていることだが、インフルエンザや多くの風邪を引き起こすウイルスは湿気に弱い。誰かのくしゃみで空気中に飛散したウイルスは、湿度が高いと水の粒や塵と一緒に落下するが、乾燥した状態では空気中に長時間舞い続けるのだ。
のどの粘膜の乾燥も良くない。のどの乾燥はそれ自体が不快であるが、インフルエンザや風邪にかかりやすくなるという点でも問題である。のどの粘膜にはウイルスや細菌をとらえる役割があり、繊毛にはそれらを痰などのかたちで外に出す役割がある。しかし、のどが乾燥したり冷えたりしていると、これら粘膜や繊毛の働きが弱くなり、細菌やウイルスがのどの細胞に入り、風邪の一症状でもあるのどの炎症を引き起こすのだ。
コップ1杯の水でできるオフィスの乾燥対策
空気の乾燥がなぜ良くないかをおさらいしてきたが、こんどはオフィスや家庭での乾燥対策について考えたい。冬の屋内の理想的な湿度には諸説あるが事務所衛生基準規則では「40%から70%」 とされている。