2016年に起きた大転換

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

2017年、「世界」と「AI」にアンテナを張れない経営者は取り残される小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 昨年、2016年は「大転換期」と呼べる年でした。大転換の原動力となったのはポピュリズムの台頭とAIの大きな進歩です。

 英国の国民投票により決まったEU離脱、メディアでは劣勢と伝えられていたトランプ氏の米国大統領選挙勝利は、まさにポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭を象徴する出来事でした。

 英国や米国に限らず、世界の政治は大衆受けを狙ってますます内向きになっていく可能性があります。

 例えば米国はカナダ、メキシコと締結し20年以上も機能しているNAFTA(北米自由貿易協定)を見直すかもしれません。

 トランプ氏は選挙活動中からNAFTAの見直しとTPP(環太平洋パートナーシップ協定)離脱を表明し、大統領当選後もメキシコ生産の自動車に重税を掛けるとツイッターで公言しています。トヨタなどもやり玉にあがりましたし、最近行われた記者会見では、貿易不均衡に言及し、中国や日本にも強硬姿勢を見せそうな様相です。

 1月20日の就任式を控え、どこまで本気なのかは現時点では分かりませんが、こうした内向きの政治の傾向はますます強まっていくでしょう。

 今年は、フランス大統領選挙やドイツ総選挙が行われる予定で、さらには、場合によってはイタリアでも総選挙がある可能性があり、極右やポピュリズム政党のプレゼンスが大きくなりつつあることが懸念材料です。

 EU離脱問題やトラップショックの影響を直接受ける企業はグローバル企業ですが、それらの企業は国内でも多くの下請け企業を持つことや、為替レートなどが大きく振れる可能性もあり、中小企業の経営や日本経済にも大きな影響が出る可能性があります。。

 そして、もう一つのAI(人工知能)の大きな進歩も、多くの人に「脅威」あるいは「恩恵」となるでしょう。

 昨年春、グーグルが開発した囲碁ソフト「AlphaGo」が韓国のトップ棋士に勝ち、今年はさらに磨きを掛けて公式戦に臨むといわれています。これは分かりやすい例ですが、AIの大きな進歩は世の中を大きく変える可能性を秘めています。