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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

2017年の世界経済はこの「4大課題」に左右される

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第51回】 2016年12月7日
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 2017年の世界経済は見通しが難しい。それは今回ご説明するトランプノミクスの実現(米国)、EU離脱の行方(英国)、黄信号の経済(中国)、限界の金融政策(日本)といった4つの経済的課題があり、それぞれに予断を許さないからである。

米国:トランプノミクスの実現

 11月8日の米国大統領選で、大方の予想を覆し共和党のドナルド・トランプが当選した。彼はニューヨーク州クィーンズ出身の不動産王・実業家(いわゆる億万長者)である。今年70歳で、2017年1月20日に正式に米国の大統領に就任するが、その時の年齢では第40代ロナルド・レーガン大統領を抜いて最高齢だ(しかし、元気である)。

 選挙という意味では、同日に米国の国会に当たる連邦議会選挙も行われ、上院・下院とも共和党が勝利した。これは、共和党の一部の議員とは関係が悪いとはいうものの、大統領の政権運営にとっては朗報だ。現オバマ大統領は、上院は共和党、下院は民主党とねじれて苦労していたのは記憶に新しい。

 トランプの今後の政策について解説したいが、ここでは経済政策に限らせていただく。トランプ経済政策は一般的に「トランプノミクス(Trumpnomics)」と呼ばれ、同じ共和党のレーガンが行った「レーガノミクス」を彷彿させる。

 まず、規制緩和を行い経済を強化する。そして減税、とくに連邦法人税を35%から15%に減税するという。さらに、インフラ投資を1兆ドル実施するとしている。現時点では、このようにトランプノミクスは概略だけで、詳細はほとんど分からない。経済成長(率)の目標は4%だ。

 このような景気刺激型の経済政策(財政政策)を実施すると、(民間からの資金も入れるなどと言ってはいるが)副作用として財政は悪化する。財政の悪化は当然、米国債の大量発行となり、米国の長期金利(10年物国債利回り)は上昇する。そのレベルは8%ともいわれている。現在が約2.4%であり、かなりの上昇だ。しかも米国の中央銀行FRBは12月13~14日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会:Federal Open Market Committee)で、短期金利も引き上げる可能性が高い。金利が為替市場に与える影響は大きく、すでに織り込みはじめ、ドル円では114円を超えている。

 さらに財務長官の人選で、為替政策はある程度読める。製造業出身の長官だとドル安、金融業出身の長官だとドル高に行く傾向がある。出身母体の影響を受けるのである。今回はゴールドマン・サックス出身であり、同じくルービンやポールソンのドル高政策を彷彿させる。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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