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2017年の世界経済はトランプ政策が翻弄、日本はリスクに備えよ

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第460回】 2016年12月27日
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トランプノミクスへの期待が、世界的なマネーフローに大きな影響を与えている Photo:REUTERS/AFLO

トランプノミクスが
世界的なマネーフローに影響

 11月8日の米大統領選挙以降、トランプ次期大統領の経済政策への期待から米国の株式市場は史上最高値を更新し、ドルも主要通貨に対して堅調に推移している。同氏が掲げる財政出動、規制緩和、減税を軸とする経済政策=トランプノミクスへの期待が、世界的なマネーフローに大きな影響を与えている。

 リーマンショック後、各国で財政悪化が懸念される中、中央銀行は積極的に金融緩和を進めた。それでも、中国経済の減速によって世界全体で供給が需要を上回る状況が続いている。

 この状況を克服するには、財政出動を進めて有効需要を発掘すると同時に、規制緩和などの構造改革を行い創造的破壊=イノベーションが発揮されやすい環境を整備する必要がある。その点で、トランプ氏が大規模な財政出動を主張したことが当面の米国経済に対する強気な見方につながった。

 そう考えると、2017年の世界経済も、米国のトランプ大統領の政策運営に翻弄されるだろう。2009年6月に景気が底を打って以来、米国経済は緩やかな回復を維持している。しかし、それが永久に続くわけではない。景気回復の勢い=モメンタムを維持するには、政治の役割が決定的に重要だ。

 特に、政治家としての実務経験に乏しいトランプ氏が、実現可能な経済政策を進めつつ、国内外からの信任を得ていくことができるかが問われる。

 大統領選挙以前から指摘されてきたように、トランプ氏の言動には一貫性がなく、政権運営が始まらないとわからない点は多い。もし盛り上がっている期待を裏切って、トランプ氏が米国の経済の底上げにつながる政策を打ち出せないなら、支持率は低迷し米国の政局不安が広がるだろう。

 欧州や中国では、徐々に先行きへの懸念につながる動きが出始めている。米国の動向次第では世界経済の先行き不透明感が大きく高まり、わが国の経済にも相応の下押し圧力がかかることが想定される。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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