前原誠司外相が自らの外国人献金問題の責任を取って辞任した。まずは、順当な出処進退を示したと言えるだろう。

 この前原辞任が菅直人政権にどのような影響を与えるか。感じるままに列挙してみよう。

前原氏の辞任は“泣きっ面に蜂”
ドミノ倒しになる可能性も

 まず、この問題での野党の追及をかわすことができる。だが野党が勢いを得て、細川厚労相の辞任要求を強め、いわゆるドミノ倒しになる可能性もある。

 最有力の“菅後継”候補が挫折し、当面は民主党内の“菅降ろし”が下火になるかもしれない。

 政権基盤の中枢を担い、外相という重要閣僚を務めてきた前原氏が抜けると、内閣の弱体化をもたらす。

 前原、仙谷氏らの“前原グループ”が自由になり、首相の政権運営に是々非々の対応を強める恐れもある。

 外交通の前原氏が辞めて、日本外交に対してもマイナス効果は少なくない。

 民主党の錦の御旗である“クリーンな政治”に疑問符がつき、党全体への不信感が高まる。

 いずれにしろプラスとなることはほとんどない。泣きっ面に蜂である。

偽メール事件の反省が生きていない?
脇が甘すぎる前原氏に募る不信感

 それにしても、前原氏は脇が甘すぎる。このまま菅後継として党代表や首相になったら途方もない間違いを犯したのではないかとさえ思われる。

 これだけ「政治とカネ」問題が、日本の政治を混乱させているのに、彼はなぜ自分の政治資金の出入りについて精査しなかったのか。まずそのことが大きな疑問である。

 特に彼は数年前の偽メール事件で代表を辞任した前歴がある。それなのになぜ同様のことを繰り返したのか。何も学んでいないと言われても仕方があるまい。