「一歩・一秒・一工程・一関節・一聞(ひときき)」
を削減する「やきとり宮川」

 有限会社宮川商店(東京都/飲食業)は、鶏肉専門の卸問屋として創業し、現在は「やきとり宮川」を出店・運営。繁盛店として、口コミサイトなどでも高い評価を得ています。
「一歩・一秒・一工程・一関節・一聞の削減」が星浩司社長の考え方です。

 万歩計を使って「1日の歩数」を記録する。前回よりも歩数が増えていれば、その理由を明らかにする。
 ストップウォッチを使って作業時間を計測し、「どうすれば、昨日より5秒早くなるのか」を考える。
 こうした仮説と検証を常に繰り返しています。

「私は、『仕事の9割はルーチンワーク(毎日の繰り返し作業)に時間を取られている』と考えています。
 ルーチンワークの質を高めることが、生産性のアップにつながる。
 そのためには、『何に、どれくらいの時間がかかっているのか』を計測するのが効果的だと思います」(星社長)

 やきとり宮川では、「お弁当の店頭販売」をしていますが、毎朝、「前日の仮説検証ミーティング」を行ってさまざまな改善案を話し合い、即、実行しています。

「作業時間の短縮、人員の削減や商品サービスの向上、効率の追求、非効率の追及をパート・アルバイト全員で話し合います。
 従業員は、『お弁当の製造時間を1秒でも縮めたい』という気持ちで仮説検証するので、話題が尽きることはありません」(星社長)

 以前、「すき間時間を利用して、あらかじめおしぼりを袋詰めしておけば、時間短縮になるのではないか」という仮説を立てた結果、実際に15分の短縮になったと言います。

「こうした改善は、店長やパート・アルバイトが自発的に行うもので、私が何かを指導したことはありません。
 環境整備を徹底したことで、改善の考え方が浸透しているのでしょう」(星社長)

 スタッフの動きにムダがなくなった結果、労働環境も改善されています。
 飲食業界は「労働時間が長い」という理由で、人材がなかなか定着しません。
 そこで星社長は、「飲食業界で、日本一労働時間の短いお店にしたい」と考え、「ホワイト企業宣言」(週休2.5日/23時完全閉店)を掲げています。
 環境整備に取り組む前は、「8時~22時まで休憩時間が取れない状態」でしたが、現在は「時間内に終わる」ように作業の環境整備が進められています。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/