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ニッポン 食の遺餐探訪

なぜカツオの塩漬けは日本で唯一、伊豆だけに残ったのか

樋口直哉 [小説家・料理人]
【第50回】 2017年1月18日
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 正月は日本の文化を再確認できる時期。普段、日本文化を意識しない人でも、年越し蕎麦、おせち料理、お雑煮など口にできたのではないだろうか。

 日本の食文化は例えばおせち料理のように行事と深く結びついている。自然の恵みをわけあい、同じものを食べることで、家族や地域の絆を深めてきたのだ。ところで、お正月に食べる魚=正月魚は関西ではブリ、関東では鮭が一般的だ。しかし、静岡県伊豆地区ではカツオの塩漬け=潮カツオを食べる風習が残っているという。この潮カツオ、鰹節の原形というではないか。

 昨年の12月、西伊豆田子町にある創業1882年のカネサ鰹節商店を訪れ、5代目店主芹沢安久さんからお話を伺った。

かつて日本中にあった魚の塩蔵品が
伊豆・田子地区だけに残った理由

カネサ鰹節商店の5代目・芹沢安久さん

 訪れた時は潮カツオの製造の真っ盛りで、芹沢さんも取材対応と潮カツオに藁を締める作業に追われていた。

 「潮カツオは生のカツオを塩漬けにした塩蔵品です。歴史は古く1500年くらい前の飛鳥時代といわれています。その後、荒堅魚は奈良時代には税金として納められるようになりました。これが潮カツオに近いものだ、と考えています。かつては獲れすぎた魚を保存するための塩蔵品は日本各地にありましたが、今ではこの田子地区だけに残ったということです」

──どうして田子地区だけに残ったのでしょうか?

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樋口直哉 [小説家・料理人]

1981年生まれ。服部栄養専門学校卒。料理人として活動する傍ら、2005年、『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。ほかの作品に『月とアルマジロ』(講談社)、『大人ドロップ』(小学館)、『星空の下のひなた。』(光文社)、『ヒマワリのキス』(徳間書店)、『アクアノートとクラゲの涙』(メディアファクトリー)がある。

 


ニッポン 食の遺餐探訪

和食を世界遺産に、という動きが農林水産省を中心にはじまっている。日本料理はここ十年余りの世界的な流行になり、外国の料理人の多くも関心を持っていて、誰もがそれを理解しようとしている。しかし、当の日本人の多くは日本料理を理解できていないのではないか。そこでこの連載では、日本の食を支えている道具や食材をつくっている生産者、職人を訪れて、私たち日本人が知らない日本の“食の遺餐”を紹介していく。 

「ニッポン 食の遺餐探訪」

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