冷温停止に至っているのは
原子炉11基のうち3基だけ

 昨年のことから理解しておくべきである。昨年3月25日に、1971年3月26日に運転を開始した福島第一原発1号機について、東京電力は、この原発が40年を迎えるというのに、超老朽化原発の運転続行という暴挙を発表し、60年運転も可能だと暴言を吐いて、原子力安全・保安院がそれを認めた。これは福井県の敦賀原発・美浜原発に続く、きわめて危険な判断であった。さらに昨年10月26日、営業運転開始から34年が経過した老朽化原発・福島第一原発3号機でプルトニウム燃料を使った危険なプルサーマル営業運転に入った。

 福島第一原発は設計用限界地震が、日本の原発で最も低い270ガルで建設された、最も耐震性のない原発である。そこで今、炉心熔融が起こったのだ。福島県内には、70キロを超える双葉断層が横たわり、マグニチュード7.9が予測される。

 地震発生時の運転状況は、○福島第一1・2・3号機は運転中→スクラム(緊急自動停止)。4・5・6号機は定検停止中○福島第二1・2・3・4号機はすべて運転中→スクラム。制御棒が挿入され、核分裂反応は、全機が停止した。しかし……

 地震発生後、原発は「止める」「冷やす」「閉じ込める」機能があるので大丈夫だと宣伝してきたが、ほかの原発も含めて、自動停止した11基の原子炉のうち、原子炉内の温度が100℃以下で、圧力も大気圧に近い状態で安定した「冷温停止」に至っているのは、地震4日目の14日現在、福島第二原発3号機と女川原発1・3号機の3基だけであり、残り8基が迷走運転中である。

炉心溶融(メルトダウン)は
2800℃以下で起こる

 電気出力100万kW原子炉では、熱出力がその3倍の330万kWある。この原子炉では、原子炉自動停止しても、その後に核分裂生成物が出し続ける崩壊熱は、1日後にも、1万5560kWもある。またその発熱量がどれほど小さくなっても、永遠に熱を出し続けるので、燃料棒が原子炉にある限り、それを除去し続けなければならない。なぜなら、原子炉という閉じ込められた容器内では、熱がどんどんたまってゆくからである。

 それを除去できなければ、水は100℃で沸騰するから、水がなくなり、燃料棒がむき出しになる。そうなれば、超危険な放射性物質が溶け出し、燃料棒の集合体が溶け落ちる。それが炉心熔融であり、メルトダウンと呼ばれる。燃料棒の集合体が次々に溶け落ちると、炉の底にたまって、ますます高温になり、灼熱状態になる。やがて原子炉圧力容器の鋼鉄を溶かし、お釜の底が抜けると、すべての放射性物質が、外に出て行く。これが「チャイナ・シンドローム」と呼ばれる現象である。

 一方、燃料棒被覆管のジルコニウムが水と反応して酸化されるので、水素ガスを発生する。水素ガスの爆発限界は、最小値が4.2%であるから、この濃度になれば爆発する。

 原子炉の正常な運転条件は、福島原発のような沸騰水型では、280~290℃、70気圧である。従来は燃料棒の過熱温度が2800℃で炉心溶融が起こるとされていたが、スリーマイル島原発事故などの解析によって、実際にはフェビュスでの最初の実験では、それまで理論的に計算されていた値よりおよそ600℃も低い温度で炉心溶融が起こることが分った(2009年7月6日~7日にNHK・BS1で放映されたフランス製ドキュメント「核の警鐘~問われる原発の安全性」より。下欄に訂正あり)。NHKなどは、御用学者を動員して「史上空前のマグニチュード9.0」を強調しているが、建物の崩壊状況を見て分る通り、実際の揺れは、兵庫県南部地震(阪神大震災)のほうがはるかに強烈だった。この地震被害の原因は、揺れではなく、ほとんどが津波であった。

【訂正とお詫び】「600℃で起こることが明らかになった」という記述部分に誤りがありました。NHKが当初、フランス製ドキュメント「核の警鐘~問われる原発の安全性」の最初の放映時に「600℃で起こる」と誤訳していたものを引用したためです。訂正してお詫びいたします。