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吉田恒のデータが語る為替の法則

行き過ぎた円安は必ず修正に向かう!
「円キャリー取引」の復活は考えにくい

吉田 恒
【第26回】 2009年4月15日
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 金融・経済危機への懸念もかなり落ち着いてきたようです。

 そのような状況下で広がってきた円安傾向についてですが、リスクへの回帰の結果であり、円キャリー取引(※)の復活といった解説さえあるようですが、それは違うのではないでしょうか?

(※編集部注:「キャリートレード」とは一般に金利の低い通貨で資金を調達し、それを相対的に金利の高い通貨に替えて運用する手法のことを指す。FXにおける「円キャリー取引」(円キャリートレード)とは金利の低い円を売り、金利の高い外貨を買って金利差を稼ぐ手法。ただし、円と外貨との金利差が縮まった最近は行われなくなってきているとみられている)

 下の図は、ヘッジファンドの売買等を反映しているシカゴIMM統計ですが、これで円のポジションを見てみると、最近にかけて円ロング(買い持ち)が縮小し、小幅ながら円ショート(売り持ち)に転換したことがわかると思います。

シカゴIMM統計の円のポジション

 これを見る限りでは、最近にかけての円安は、円の「買われ過ぎ」の修正で、それが一巡して、今度は円が「売られ過ぎ」の拡大に向かうかという段階に入ってきていると言えるでしょう。

 ところで、そのような円ショートは、2008年8月に対ドルで110円まで円安が進んだ局面では2万枚にまで拡大しました。それどころか、円キャリー取引の全盛期であった2007年には、円ショートは18万枚にまで拡大したこともありました。

 それでは、リスク投資再開で、今回も円ショートは一段と拡大するのでしょうか?

内外金利差縮小で
円キャリーは復活しない!

 2008年9月に「リーマン・ショック」がありました。それと前後して大きく変わったことがいくつかありますが、その1つが金利差です。

 たとえば、日米の長期金利差は、リーマン・ショック以前は3%前後ドル優位であったのが、リーマン・ショック後は一時1%を下回り、最近でも1.5%前後での推移となっています。

日米の長期金利差

 日豪の長期金利差も、リーマン・ショック以前の4~5%から、最近は3%前後に豪ドル優位が急縮小しています。

 「円キャリー取引」という円売り運用の大前提は、内外金利差の圧倒的な円劣位でしたが、それは今のところ大きく変わったままの状況が続いています。このような状況では、円売りの持続力にも自ずと限界があるでしょう。

 それでも、円自体に一段安の余地があるなら、金利差では必ずしも圧倒的に不利でなくても、円キャリー取引は可能になるわけですが、その点はどうでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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