はじめに、東日本大地震を被災した皆様、ご親族様に謹んでお見舞い申し上げます。被災地にご友人、知己がある方のご心痛、お察しいたします。また、被災者救援に尽力されている自衛隊、消防、警察など救済活動関係者の皆さま、および東京電力はじめ福島第一原子力発電所の事故処理にあたっておられる皆さまに敬意を表します。
さて、未曾有の被害を出した東日本大震災はまた、未曾有の「支援の輪」も生み出している。今回は、どれほど多くの日本人が、「自分たちに何ができるのか?」を考え、行動したのかをまとめ、その意味を考えてみる。
1週間で72万人から12億円!
ケタ違いの寄付を集めたYahoo! JAPAN
まず、今回の支援の気運で特筆すべきは、寄付のスピードと規模である。昨年の1月に発生したハイチ大地震の時も、第13回記事で、ツイッターなどのソーシャル・メディアの力で「スピードと規模はケタ違い」と書いたが、今回はさらにケタ違いの寄付が集まっている。
「Yahoo! JAPAN」では、地震直後の11日夜から「緊急災害基金」への募金を開始。翌12日までの1日強で約1億円の寄付が集まった。その後も勢いは加速し、13日までで合計約5億円。18日金曜日14時の時点で、約72万人から、約12億円の寄付が寄せられている。
Yahoo! JAPANが運営する「Yahoo!ボランティア」は日本最大級の寄付サイトでもあるが、過去最高の寄付額は宮崎県の口蹄疫被害に対する寄付で、約9万人から3833万円が寄せられたという。
数字はウソをつかない。この寄付者数、寄付額の違いが、いまの日本人の支援に向かう気持ちの大きさである。と同時に、これはファンドレイジングのあり方に対しても、多くの示唆を含んでいる。
これだけ多くの寄付が集まったのは、支援の気持ちと同時に「見えやすさ」というものもあっただろう。Yahoo! JAPANは震災後いち早くそのトップページに「被災地支援のための緊急災害募金」と表示。日本最大級のアクセスを誇るそのトップページから、多くの人を寄付ページに誘導した。また、NHKが13日日曜日の昼のニュースでYahoo! JAPANの災害基金のことを報じたことも、大きな効果をもたらしたと思われる。
「適切な支援をしたい」
高まる市民のリテラシー
今回の震災では、「寄付をしたいけど、どこに寄付すればいいか分からない」という人も多かった。筆者のところにも、知人、友人から適切な寄付先を教えてほしいという質問が多数寄せられた。これは、多くの日本人が単に寄付をしたいと考えているだけでなく、適切な寄付をしたいと考えていることの証左である。寄付に対するリテラシーは確実にあがっているのである。