いきなりの糖質ゼロは危険なので、「夕食のごはんを抜く」「半分にする」など無理なく始めましょう

 「ダイエット」とは辞書によると「日常の(飲)食物、食餌療法、食事制限、(治療・体重調節などのための)規定食」(研究社新英和中辞典)をさすが、日本ではほぼ「やせること」を意味している。

 やせるためのダイエットには王道がある。消費カロリーを摂取カロリーより多くすれば間違いなくやせていくのだ。美しく健康的にやせるためには栄養のバランスを考えたり、適度な運動をこころがければよい。継続させるためには、カロリーの制限や運動量を無理のないものにすればよいのだ。

 ただそれだけのことだが、指導者なしでひとりでダイエットを行うのは面倒で、意思の力を必要とする。○○だけを食べる、極端に食事量を減らすといった過激なダイエットが流行ってきたのは「少々つらくてもとりあえずそれだけに専念すればよい」というわかりやすさにも理由があるのだろう。

 もっとも近年はそうした過激なダイエットより「無理なく」「健康的に」を前面に出した方法が受け入れやすい傾向がある。そのひとつが今回取り上げる「糖質制限ダイエット」で、数年にわたって流行しているから実践中の人も多いはずだ。

糖質を減らし、インスリンを抑えるのがポイント

 糖質とは簡単にいえば、食物繊維以外の炭水化物のこと。糖質制限ダイエットの「食べすぎてはいけないものリスト」には、菓子類、米、パン、麺類、いも類、果物などなるほど糖質が多いだろうと思えるものから、トマト、れんこん、ごぼうなど少々意外なものまでが並ぶ。

 糖質制限ダイエットは、すい臓から分泌されるホルモン「インスリン」を抑制することで、身体に脂肪を蓄積させないようにし、やせようというもの。インスリンには血糖値を下げる機能があるが、その際に糖分を脂肪やグリコーゲンに変えて身体に蓄えてしまうのだ。糖質を抑制し血糖値があまり上がらないようにすれば、インスリンの分泌も抑制され、結果として脂肪の蓄積も少なくなるという理屈である。

 だが糖質はたんぱく質、脂質と並ぶ「三大栄養素」のひとつのはず。それを「制限」してもよいのだろうか?