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森信茂樹の目覚めよ!納税者

投機筋が狙う日本国債の売り浴びせ
復興資金の調達は東西ドイツ統合の経験に学べ

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第3回】 2011年3月25日
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1.安易な資金調達は危険

 今回の東日本大震災は、地震、つなみ、原発の3つが複合して被害額は計り知れないものとなっている。すでに、阪神大震災の10兆円の経済損失を超え、20兆円の損害という声も出始めている。そしてその復興には、5年とも10年ともいう年月が予想される。改めて被災地の方にお見舞い申し上げたい。

 さて、日経新聞(3月19日1面トップ)によると、政府部内では、中長期的な支援策として、郵便貯金や年金資金の一部を活用した災害復旧ファンドの創設が、有力な案として検討されつつあるという。

 私も、基本的スキームとして、復興基金(ファンド)を創設し、復興基金債の発行による資金調達を行うことにより、被災地・被災者への支援(財政支援・投融資)を行うスキームを、復興マスタープランとともに早急に整備する必要があると考える。その際の問題は、10兆円を超える可能性もある巨額の復興基金債をどう償還するのか、議論しておく必要がある。

 すでに、「被災地復興のための財源は、10兆円規模の国債を発行して、これを日銀が引き受ける形で、デフレ対策と同時進行させるべき」というような提言も出始めている。

 しかし、わが国財政はすでに危機的な状況下にある。阪神淡路大震災が発生した際、公的債務の対GDPは82%に過ぎなかったが、2010年度には180%にも達している。つまり、これまでの日本や先進諸国と比べて、フロー、ストックとも、財政状況が圧倒的に悪い中での対策になる。

 一つ対応をあやまれば、震災直後から円高を仕掛けた、金もうけのみを考えるヘッジファンドという禿鷹に、日本国債売り・金利急騰の絶好の材料を提供することになる。彼らの材料にされる安易な財政処理は、極めて危険である。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

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