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カダフィに吹きつける民主革命の嵐は
中国、北朝鮮にも届くか――
「ネオコン」の代表的論者に聞く
リビア空爆の意味と日米の国益・外交への影響

ブルッキングス研究所 ロバート・ケーガン博士インタビュー

2011年3月29日
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米英仏など多国籍軍によるリビア空爆が始まった。しかし、カダフィ政権側は国民に徹底抗戦を呼びかけ、戦闘は長期化の様相を呈している。チュニジアやエジプトに続き、リビアでも政権崩壊は起こるのか。もしカダフィ政権が倒れれば、この流れはイランやサウジアラビアにも波及するのか。そして、一連の中東・北アフリカの民主革命はアメリカや日本の外交・国益にどのような影響をもたらすのか。ネオコン(ネオ・コンサーバティブ=新保守主義)の代表的論者として知られるロバート・ケーガン博士に聞いた。
(聞き手/ジャーナリスト、矢部武)

――多国籍軍によるリビア空爆は正しい選択だったのか。

ロバート・ケーガン(Robert Kagan)
国務省政策企画局勤務、ジョージ・シュルツ元国務長官の主席スピーチライター、カーネギー国際平和財団の上級研究員などを経て現職。ワシントン・ポストの国際問題コラムニスト、ウィークリー・スタンダード誌の特別編集者などを兼務。米国の外交・安全保障の第一人者で、米外交専門誌フォーリン・ポリシーの“グローバル・シンカー(世界的思想家)100人”に選ばれた。著書”Of Paradise and Power: America and Europe in the New World Order”(「ネオコンの論理:アメリカ新保守主義の世界戦略」光文社、2003年)はニューヨークタイムズのベストセラーとなり、25カ国で翻訳された。ハーバード大学ケネディ行政大学院で修士号、アメリカン大学で博士号を取得。

 正しい行動だと思う。理由は、まずカダフィ政権による国民大虐殺という人道的危機を阻止しなければならなかったこと。それに、これまで欧米など多くの国々は中東の独裁国家を支持してきたが、アラブ世界の民衆蜂起によって私たちは独裁政権側ではなく国民の側に立つことが重要になってきたのである。

――軍事攻撃は効果をあげているのか。

 カダフィ政権の軍事部隊はそれほど大きくなく、基盤も強くない。

 残念ながら多国籍軍は武力介入の時期を誤ったと思う。数週間前、反政府勢力が攻勢を強めて政府軍を追い詰めた時に多国籍軍が攻撃に加わっていたら、カダフィ政権を倒せたかもしれない。

 しかしながら、多国籍軍はリビアの空軍だけでなく地上部隊にも大打撃を与えている。こうなると、カダフィ政権内で「政府軍と多国籍軍の力の差は明らかではないか」との疑念が広がり、「これ以上戦闘を続けるのは“自殺行為”に等しい」と自ら政権を去る者が出てくるかもしれない。

 そうなれば、カダフィ大佐が降伏しなくても、政権は内部崩壊していくだろう。クリントン国務長官やゲーツ国防長官もすでにそのことに触れており、その可能性は十分あると思う。

 そのためにも多国籍軍は“飛行禁止空域”の他に、リビア政府軍の地上部隊が沿岸部の主要都市を移動できないように“通行禁止区域(ノー・ドライブ・ゾーン)”を実現したいところだ。

――戦闘が泥沼化する可能性はないのか。

 その可能性は低いだろう。カダフィ政権の崩壊なしにこの戦いが終わることはないだろうが、これ以上戦闘をエスカレートさせなくてもそれは可能だと思う。ただし、米国は多国籍軍での指揮権をフランスやイギリスに委譲した後も、積極的に関与していく必要はある。

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