昨年夏の暮れ、ロッテ社内に激震が走った。大人気のチョコレート商品シリーズ「乳酸菌ショコラ」について消費者庁から問い合わせを受け、景品表示法に抵触する可能性が生じたからだ。
2015年に発売された乳酸菌ショコラは、発売から半年間で20億円も売り上げた大ヒット商品だ。
商品名にもある乳酸菌は腸内環境を整える善玉菌の代表格で、健康維持や増進効果をうたう「機能性ヨーグルト」に含まれるものとしても知られる。乳酸菌ショコラは、発売当初に商品コピーで「生きた乳酸菌が(腸まで)100倍とどく」とうたい、乳酸菌人気の波に乗った。
ところがこのコピーについて、「本当に生きた乳酸菌が腸まで100倍届くのか」と消費者庁が疑いの目を向け、ロッテに根拠を示す資料の提出を求めた。
ロッテ側の根拠は、主に同商品用に乳酸菌を提供する日東薬品工業と小川順・京都大学教授との共同研究で行った人工胃液試験の結果と、人の排せつ物検査に基づく。
一般的に、乳酸菌が持つ酵素活性は胃液などの酸によって失われる。しかし、乳酸菌をチョコレートで保護することで、乳酸菌の粉末や乳酸菌を配合したドリンクと比較して、試験管に入った人工胃液の中で3万3000倍の量が生き残ることを確認した。
ただ、それだけでは乳酸菌が生きたまま実際に腸まで届いているとは言い切れない。というのも、「現在の科学技術では人間の腸内でどれだけの乳酸菌が生きているかは人間を解剖して検証する以外に定量的に測れない」(小川教授)からだ。