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「水素水は体に良い」は本当か?効果の真偽を徹底検証

吉田克己 [5時から作家塾(R) 代表/World Business Trend Tracker 主宰]
【第35回】
「健康に良さそう」となんとなく水素水を飲んでいる人もいるのでは?

 若い女性を中心に「健康、美容に効果的」と話題の水素水。だが、水素水は本当に健康維持に役に立つのか、それが今回のテーマである。

 最初にはっきりさせておかなければならないことがある。単に「水素水」と言った場合、水素ラジカル(H・)や水素化物イオン(H-)が溶存しているとされる「活性水素水(ミネラル還元水)」と、水素分子(H2)を溶かし込んだ「水素分子水」に大別される。

 活性水素とされる水素ラジカルや水素イオンが水の中に安定的に存在するという主張には科学的根拠が乏しく、かつ過去には、所謂「ミネラル還元水素水の生成装置」と称する製品を製造・販売していたメーカーに対して、公正取引委員会が誇大広告(優良誤認)であるとして景品表示法による排除命令を出している(2005年12月26日)。よって、本稿では「活性水素水」を除外した水素分子水を以下「水素水」として扱う。

濃度が重要?生成方法で違う?
「水素水」競争が激化中

 最近では、2015年7月に伊藤園が発売した「高濃度 水素水」が、主にネット上で物議を醸した。同社は元々、2008年から「還元性 水素水」を取り扱っていたが、水素濃度を高めた新製品を出したことが耳目を集め、工業的に水素分子を加圧注入して過飽和水素水としていることの説明はあっても、生理学的説明が一切されていないことで非難を浴びたようだ。

 エネルギーとしての水素それ自体はクリーンであることからか、「水素水を飲めば体内がきれいになる」――そんなイメージを抱いてしまう人が少なくないからなのかもしれない。

 と同時に、「水素がからだにいいのは当たり前」を前提として、「水素水は実際に飲むときの濃さが大事」としてその濃度を競う商品も登場。あるいは「水素水製品は○○タイプがお勧め」といった感じで、効能や副作用が検証されないままに、その生成方法の優位さを競う段階にスキップしてしまっている(以下に代表的な方式を挙げておく)。

a.「水素ガス充填方式」(アルミパウチ水素水)
b.「金属マグネシウム反応方式」(水素水スティックなどで水素を発生させる)
c.「水素生成剤方式」(耐圧容器の中で水素を発生させる)
d.「サプリメント方式」(体内で水素発生剤から水素を発生させる?)
e.「電気分解方式」(サーバー内で電気分解を行う)

 水素はからだにいいことが“確かなら”、あとは自分に合う方式を選べばよいだけなのだが、如何せん、効能やメカニズム、科学的な根拠が示されているとは言い難い。せいぜい試験管レベルの化学式でお茶を濁している程度で、エビデンス(医学的根拠)にお目に掛かったことはない。だが、実際にいくつかの宣伝サイトを覗いてみると、以下のような惹句が並んでいる。

 「水素を体内に入れると、直ぐに活性酸素と結合して、それを中和(還元)します。つまり、体内の活性酸素を効果的に素早く消去してくれる」

 「水素水には、老化や体の不調の原因になる、体内の悪玉活性酸素を体外に排出する作用がある」

 「水素水は悪玉活性酸素を安全かつ効果的に除去する唯一の存在」

 そこで以下では、水素水に関する科学論文を手掛かりに、その生理学的特性などを追ってみたい。参照するのは、社団法人日本老年医学会が発行する「日本老年医学会雑誌」Vol.49(2012)に掲載された、「水素分子の生理作用と水素水による疾患防御」(大澤 郁朗)である。

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吉田克己  [5時から作家塾(R) 代表/World Business Trend Tracker 主宰]

京都大学工学部卒。リクルートを経て2002年3月に独立。ダイヤモンド・オンラインでは、「消費インサイド」「デジライフNAVI」「就活の法則」などの企画・執筆に携わる。通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」の講師を務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。


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