そういう意味ではコンビニのフランチャイズオーナーも本部に対しては弱い立場にある。このため、東京都労働委員会は2015年、コンビニのオーナーが、チェーン本部と団体交渉をするための「コンビニ加盟店ユニオン」を労働組合として認めているほどだ。

 とはいえ、コンビニのフランチャイズオーナーが本部の圧力に耐えかねたとしても、アルバイト従業員にノルマを強要するのは違法行為だ。

 前出の青木さんは、「電話の相談でも『クリスマスケーキを買い取れ』と言われたり、『協力しないとやめてもらう』と言われていること自体が違法であると認識していない人が多い。また、強要されないまでも、雰囲気的に居づらくなったり、店主やノルマをこなしている同僚との関係が悪くなることを気にして声を上げられない人がほとんど」という。実際に店主やオーナーと交渉して、自腹購入分の金額を取り戻す人は10分の1にも満たないのが実情だ。

 もし、自腹購入を強要された場合、その金額を後で取り返したい場合はどうしたらよいのだろう。

「ノルマの強要や、シフトを減らすなどのやりとりをしたメールやLINEでの連絡はスクリーンショットをとっておく。ノルマを断って呼び出されたら、面談中のやりとりを録音する、購入分の記録をとっておく。それができなければ、日記やメモの形で記録しておいてほしい」(青木さん)と『証拠の保全』を勧める。

「まずは明確な違法行為だと知ってほしい。そして声を上げるのは自分の権利を主張するだけでなく、職場環境全体の改善にもなり、みんなが働きやすくなることなのだと認識してほしい」と呼びかける。

 バレンタインデー、続くホワイトデー、ひな祭りにお花見。冬が過ぎ、春が来ても、本部や店舗側の「違法行為」に対する“認識”が希薄なら、コンビニ店員の憂鬱は延々と続くことになりそうだ。